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水泳前は絶対に準備体操
第一章

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               水泳前は絶対に準備体操
 羽生田賢二は通っている高校では水泳部である、一八〇近い引き締まった身体で細面で顎はすっきりしている。眉は細くきりっとしていて切れ長の目で薄い唇だ。
 彼は部活の練習前にだ、いつも部長で長方形の顔に小さな丸い目と太い唇に引き締まった体格で中背の斎藤力也に言われていた。
「本当にまずはね」
「準備体操からですね」
「はじめようね」
「それは絶対ですね」
「さもないとね」
 斎藤は羽生田に話すのだった。
「大変なことになるよ」
「そうですよね」
「子供の頃から言われてるね」
「はい」
 羽生田は確かな声で答えた。
「水泳は小学生の頃からやっていますが」
「スイミングスクールからだね」
「その時から、もっと言えば幼稚園ではじめて泳いだ時から」
「言われているね」
「はい」 
 まさにというのだ。
「本当に」
「そう、身体をほぐして温めて」
「泳がないと駄目ですね」
「そうだよ」 
 まさにというのだ。
「本当に」
「わかっています、ですから俺も」
「泳ぐ前は絶対にだね」
「準備体操をしています」
「冷たいお水の中にいきなり入るとね」
「心臓に悪いですし」
「水泳は身体全体を使う激しいスポーツだし」
 斎藤はこのことも話した。
「身体をほぐしていないとね」
「手足がつりかえないですね」
「泳いでいる時につったら」
 そうなればというのだ。
「危ないからね、ましてお酒飲んで泳ぐとか」
「自殺行為ですね」
「本当に何かとね」
「注意してですね」
「泳がないと駄目だよ」
「準備体操は忘れない」
「泳ぐ前にはね」
 この日も一切にだった。
 羽生田も斎藤も他の部員達もしっかり準備体操をしてから部活で泳いだ、色々斜に構えたところのある羽生田も守るところは守るタイプなので水泳前の準備体操は欠かさななかった。
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