黒星団-ブラックスターズ-part8/近く遠い想い人
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やや悲痛気味なものであった。
「…ティファニア、あなたも良ければ私たちと一緒に帰りませんか?」
「え、いいんですか?私まで」
そんなテファを見かねたのか、アンリエッタはテファも帰りの同伴に誘う。
「何も遠慮など。あなたは私のいとこではありませんか。先輩、ご負担をおかけしますが、どうですか?」
「俺は別に構わない」
シュウも特に断る理由はなかった。そこから流れるようにサイトたちは解散。枯れたギーシュに誰も目をくれなかった。
「ウェールズ様…あなたのアンが来ましたわ」
心電図やビープ音の鳴る一室の病室にて、アンリエッタは呼吸マスクを着けて眠っている青年に言葉をかける。この青年こそがアンリエッタの恋人…ウェールズだ。
でも関係があるのは彼女だけではない。
「ウェールズ兄さんだったのね、会長の恋人さんって…」
「知り合いだったの?」
テファの口から、元からウェールズのことを知っていたような口ぶりに愛梨が目を向ける。
「私とティファニアが従姉妹なのは既に聞き及んでいますわよね。私の父はウェールズ様のご実家から婿養子入りした身で、ティファニアのお父様もウェールズ様の父君とはご兄弟に有らせられるのです」
「でもお父さんは、実家から勘当されたの。お母さんとの結婚に猛反対してたから。兄さんのことも、話に聞いていたくらいでお話ししたことはなかったんだけど…」
しかし親戚関係でこそあるが、互いの親の事情が重なった結果、関わり自体は深くなかった。
「なんで反対されたの?」
「私、ほら…母がエルフだから」
愛梨から両親の結婚が反対されていた理由を、自分の耳に触れながらテファは説明した。
「…今更、種族の違い如きに拘るのか。当人が一緒に幸せになるなら、それに越したことはないだろうに」
「先輩…」
シュウは、種族の違いを理由にテファの両親の結婚に反対したウェールズの父親に対し、あくまで他人事ではあるとは言え悪印象を抱いた。
「私も叔父様の判断には賛同しかねます。だって、いくら兄弟といえど、結婚を決めるのは叔父様ではなく、ティファニアのご両親…当人の意思で決めることですもの。ですが、そう簡単に割り切ろうとも変わろうともしないのも、人の性かもしれませんわね」
アンリエッタもウェールズの父親がテファの両親の結婚に反対したことを良く思えなかった。
「でも私はティファニアのことはウェールズ様から幾度か聞いておりまして、ぜひお話ししたいと思っておりました。だから同じ学校で出会えた時は嬉しかったですわ」
「そんな、恐縮です…」
こんな自分にそこまで会いたがっていたのかと思うと、照れ臭さを感じるテファ。
「でもウェールズ様は、他国で父親…私の叔父上に当たるお方の仕事の補佐をなさっていた時に、ビースト事件に巻き込まれて以来、こうして眠り続け
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