黒星団-ブラックスターズ-part8/近く遠い想い人
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付いたらシエスタが隣に寝てたもんだから驚いたよ」
「ええ、私も気づいたら隣で寝ちゃって、次の日は風邪を引いて一週間も学校を休むことになったんですよね」
お互いにその時の失敗談を笑って語り合う二人。当時はq一週間も休んだせいで、ただでさえ日頃の勉強不足さが一層祟ってさらに授業の内容に追いつけなくなったものだとサイトは笑った。
「他にもサイトさんと遊んでることをダシに、同じ歳の男の子からサイトさん揶揄われましたよね。それを聞いた私が泣いていたら、サイトさんはその子に対して怒って、私嬉しかったです」
「そんなこともあったんだ、俺それは覚えてなかったなぁ」
サイトとしては、別段大したことではなかったので覚えていなかったようだ。とはいえ覚えていたとしても、シエスタの語る当時の、自分達の仲を揶揄った男子に怒っていたであろうとは思う。
「本当に、あの頃は楽しかったなあ。また戻れたらよかったのに。私とサイトさん、二人だけで…」
もう遠くなってしまった幼い頃の記憶に想いを馳せるシエスタは、遠い夕日を見上げる。
「サイトさん、今日は寄り道して行きませんか?」
だから少し、サイトを寄り道に誘い出してきた。
「え?いいけど、門限とか大丈夫なの?」
「ええ。お母さんたちにはちゃんとメールでお話を通せば、割と遅くまで大丈夫なんですよ。それに…」
「最近、サイトさんと一緒に過ごす時間が減ってきてますから、少しでも一緒にいたいんです。幼い頃の思い出だけじゃ、まだまだ物足りないですから」
「え…」
シエスタが少し積極的に自分を誘ってきた意図を察したサイトは、思春期男児らしい照れを見せる。
「さ、行きましょうサイトさん!」
サイトの悪い気は起こしてない反応を見て、シエスタは心の中でガッツポーズを決めると、サイトの手を引いて行くのだった。
しかし…
「きゃああああ!」
聞き覚えのある声による悲鳴が聞こえてきた。
「今の声って」
「会長!」
聞き間違いでなければ今のはアンリエッタの声だ。確か今日の帰り、交際中の男が入院している病院へ面会に、シュウたちがその帰路に同伴しているはず。
それでも今の悲鳴が聞こえてきたということは、なにかあったのだ。
「シエスタ、先に帰ってて。俺が様子を見てくる」
「そんな、危ないですよサイトさん!」
シエスタはサイトを引き止めようとする。サイトが行けば、仮にアンリエッタ達に何かが起きていた場合、サイトにもその危険が降りかかるだけだ。行ったところでどうにもならないだろうと言おうとするが、サイトは自分の予想を超えた速度で既にアンリエッタの悲鳴が聞こえた方角へ消えていった。
「…」
一人取り残されたシエスタは、ますます痛感させられた。
出会ってからずっと近くにいたはずのサイトが、どんどん遠い存在になって
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