第一部
三月の戦闘 V
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、アストラル界に渡るなど、かなり大掛かりな儀式魔術でも使用しない限り不可能だ。それを、こうも簡単に、しかもその場の全員を転移させるなど・・・と、そこまで考えて、アンドレアは思った。
(成程・・・日本は確かに【魔界】だ。我々の知らない法則、常識が溢れている。コレは、今後の対応を考えたほうがいいな・・・)
彼らの常識では、アストラル界には普通の生物は出入り出来ない。それこそ、魔女の才能を持つものなどの、ごく一部の人間でなければ不可能だ。それは、難易度云々というよりも、アストラル界に体がついて行けないからである。
開闢から全ての歴史を内包していると言われているアストラル界は、普通の人間には毒でしかない。アンドレア自身、こうしてアストラル界に入ったのは始めてであった。
「ここなら現実世界に影響を与えずに戦闘できるよ。浅い階層だから、何の害もないし!」
と笑いながら、鈴蘭はアンドレアに向き直り、
「じゃ、成功したら二億円。約束は守ってね!」
「わ、わかっております・・・。」
今日、ドニをどうやって連れ帰ろうかと悩んでいた彼の前に、突然鈴蘭が現れて言ったのだ。
『私が追い払ってあげる』と。
その代わりに報酬を要求されたのだが、たかが二億でこの問題を解決出来るのならそれが一番だと思い、この要求を飲んだのだった。
鈴蘭としても、このままではいずれドニと戦うことになったのだから、それを先回りして仕事にしてしまおうという魂胆だった。人生は面白可笑しく。弾丸の一発でフェラーリを稼ぎだせを信条とする彼女である。タダ働きなど以ての外だった。本来は骨折り損のくたびれ儲けになる筈だったのが、臨時収入として利用出来るようになったのだから喜んだ。
アンドレアは、これ以上馬鹿が問題を起こす前に止めたい。
鈴蘭は、何の利益にもならない戦いはしたくない。
二人の利益が重なった瞬間であった。
もっとも、アンドレアは鈴蘭がドニを倒せるとは思っていない。カンピオーネになってたったの数カ月。たった一つしか権能を持っていない彼女に、歴戦の戦士である【剣の王】が負けるとは思えなかった。だが、いい勝負をしてくれさえすれば、ドニも満足して帰ってくれるかもしれないという考えである。神々の権能というのは特殊なものも数多くあり、一概にどれが強いとは言えないのだが、それでもドニの勝利を信じて疑わないあたり、主人への信頼が見え隠れする。
「じゃぁ・・・。」
そう言いながらM16をドニに向ける鈴蘭。
「ヤバっ・・・!?」
本来、カンピオーネがそんな銃器で傷つく筈がない。特にこのドニならば、【鋼の加護】を使用すれば、例えアンチ・マテリアル・ライ
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