第二章
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お爺さんはこう早苗ちゃんに言いました。
「お口を開けてね」
「こうですか?」
「そう、それじゃあ見せてもらうね」
お爺さん、歯医者さんは早苗ちゃんのお口の中にへらみたいなものを入れて小さなライトも使ってそのうえでじっくりと見ました。それからです。
何か色々として歯に詰め物をしました。その間早苗ちゃんはお口の感覚がなくて何をされたのかよくわかりませんでした。
けれどそれが終わってからこう言われました。
「もう大丈夫だよ。けれどね」
「けれど?」
「ちゃんと歯を磨かないとね」
優しいですがしっかりとした口調で早苗ちゃんに言うのです。
「また歯が痛くなるよ」
「えっ、またですか?」
「甘いものを食べた後や寝る前にね」
お母さんと同じことを言います。
「ちゃんと磨かないとまたなるよ」
「そうなんですか」
「まだ生え変わる歯だからいいけれど」
歯医者さんは早苗ちゃんがまだ子供で乳歯と言ってもよくわからないと思ってわかりやすくこう言いました。
「けれど生え変わらない歯だとね」
「虫歯になったらですか」
「もう二度と元に戻らないから気をつけてね」
「二度となんですか」
「うん、そうだよ」
こう早苗ちゃんに言うとです。
早苗ちゃんはまだ痺れている感じの頬を自分の手で押さえながら言いました。
「痛いだけじゃなくて」
「そう、二度と戻らないから」
「歯を磨かないとそうなるんですね」
「そうだよ。だから気をつけてね」
歯医者さんは早苗ちゃんに優しく言いました。早苗ちゃんも歯が痛かったことを思い出しながら頷きました。
歯を治してもらったので後はお家に帰るだけです。早苗ちゃんはお家に帰る中で手をつないでくれているお母さんにこう言いました。
「虫歯になったのは歯を磨かなかったからよね」
「うん、そうよ」
お母さんは早苗ちゃんに顔を向けて答えてくれました。
「それでなのよ」
「そうよね。だから」
「お母さんの言う通りになったでしょ」
お母さんは早苗ちゃんに優しいですがそこに叱るものも入れた顔で言いました。
「歯を磨かないと虫歯になったでしょ」
「うん」
早苗ちゃんはお母さんのその言葉にこくりと頷きます。
「本当に」
「だからいいわね。今度からはね」
「うん、お母さんの言うこと聞くから」
そしてだというのです。
「毎日寝る前と甘いものを食べた後はね」
「歯を磨くのね」
「しっかりとそうするから」
手を抜かずにそうするというのです。
「もう絶対に虫歯になりたくないから」
「じゃあ頑張ってね」
「そうするね。もうあんな痛い思いしたくないから」
治療してもらって痛くなくなった口の頬を摩りながらの言葉です。
「絶対にね」
「そうしてね。お母さんは意地悪
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