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親戚のお寺に入って
第一章

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                親戚のお寺に入って
 就職活動をしてだ、土方宗生は正直参っていた。そうなっている理由は就職活動中ではよくある話だった。
「就職先決まらないのね」
「中々な、今人手不足だっていってもな」
 母に苦い顔で話した、面長で黒髪をセットしている。優しい顔立ちで背は一七一位で痩せてやや色黒である。
「これがな」
「そうなのね、だっただね」
 ここで母は息子に言った。
「兄さんのお寺入る?」
「叔父さんの?」
「兄さんのお寺跡継ぎがいないのよ」
「そういえば叔父さんと叔母さん子供いないな」
「そう、だからあんたがね」
「寺に入ってか」
「跡継いだら?お坊さんになるのもね」 
 これもというのだ。
「就職よ」
「そうなんだな」
「サラリーマンとか公務員だけじゃないでしょ」 
 就職はというのだ。
「だからどうかしら」
「そうだな、正直就職決まってないしな」
 息子はこの現実から答えた。
「だったらな」
「ええ、あちらともお話してね」
「あそこには子供の頃毎年お泊りして馴染みもあるしな」
「悪くないでしょ」
「ちょっと話すよ、ただ俺経済学部でお坊さんの資格ないよ」
「それでも話してみなさい」
「そうするな」
 こう母に答えて父とも相談したが父もいいだろと答えたのでだった。
 彼は叔父の大野祐樹自分そっくりの顔立ちだが黒髪は白くなってきている初老の彼と会って話した。すると彼は大喜びで言った。
「跡を継いでくれるなら」
「いいですか」
「わしは待っておった」
 寺の応接間で甥に向かい合って座ったうえで言った、僧衣と袈裟が似合っている。
「そなたの様な若者が出て来ることを」
「そんな某竜王みたいなこと言うことですか?」
「闇の国はないが寺ならある」
 叔父は甥の突っ込みをものともせず続けた。
「ではな」
「はい、お寺に入って」
「跡継ぎの修行をしてもらう」
「就職ですか」
「そうだ、これで就職も決まったな」
「正直仕事が決まるなら」
 土方は自分の事情から答えた。
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