第一章
[2]次話
梅雨のトイプードル
梅雨である、日本のこの季節は雨が多いが。
散歩を終えて気持ちよさそうにしているふわりを見てだった、彼女の家族である国崎家の主婦である百合子は夫の文太に言った。
「犬のレインコート着せてね」
「雨の散歩行ったな」
「ええ、それでね」
夫にそれにと言った。
「コート脱がせて足拭いて」
家に入れたな」
「そうしたけれど」
それでもというのだった。
「ふわりずっと機嫌よかったわ」
「散歩に行けてな」
「それでね」
妻は夫にさらに話した。
「雨でもね」
「ふわりは平気だな」
「平気っていうかお水がね」
「抵抗ないからな」
「普通の犬はね」
百合子はこう夫に返した。
「お水嫌がるわね」
「濡れることはな」
「その子によるけれど」
「ふわりは別にな」
「嫌がらないどころか」
「むしろ濡れたがるな」
「泳ぐの好きだし」
それで犬用のプールに連れて行くとよく泳ぐ、しかも泳ぎ達者で家族もこのことをよく知っているのだ。
「雨に濡れてもね」
「平気だな」
「これがね」
「そうだな」
「それで今の季節も」
梅雨でもというのだ。
「むしろ喜んでね」
「散歩に行くな」
「雨でもね」
「それはな」
夫は妻にふわりがそうである理由を話した。
「ふわりがトイプードルだからだな」
「やっぱりそうよね」
「ああ、何しろな」
妻にさらに話した。
「トイプードルは水に入る犬だからな」
「狩猟犬でね」
「何度も言ってるが飼い主が水鳥を撃ってな」
銃でというのだ。
「水鳥だから水辺にいるよな」
「湖とかお池とか川とかね」
「その撃って落ちた水鳥を取りにな」
「お水に入って獲って帰って来るわね」
「そうする為の犬だからな」
「それでよね」
「だからな」
それ故にというのだ。
「ふわりもな」
「そうしてるわね」
「そうだよ」
こう話すのだった。
「水はむしろ好きでな」
「梅雨でも機嫌いいのね」
「そうなんだよ」
「そういうことね」
「雨ばかりだとな」
文太は窓の方を見た、見れば今も降っている。
「俺達は嫌になって来るけれどな」
「ふわりは違うわね」
「ああ」
そうだというのだ。
[2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ