魔道車の中は密会に最適
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ーブスンが名を呼ぶ……
それに呼応する様にルディーは魔道車を駐める。
場所は港地区の外れ……格安の宿屋が乱立する通り。
場所が場所なだけに、この魔道車は目立ちすぎている。
だが表面上は慌てる事無く、偽のカーブスンは自分の荷物だけを持って、何事も無かった様に立ち去った。
そんな彼(彼女?)を目で追う事も無く、ルディーも慌てず魔道車を走らせ去って行く。
(グランバニア城内:ピピン邸)
「遅いですね……ルディーさん」
ここピピン大臣のリビングルームには家主であるピピンを筆頭に、妻のドリス・息子のピパン・その彼女のデイジーが集まっており、ピパンの彼女として一家に紹介されていた。
だがそれも終わり、遠く離れたサラボナへデイジーを送り返さねばならず、魔法を使って連れてきたリュカが、責任を持って送り返す為に用は無いにも関わらず何故だかここに付いて来たビアンカと不思議そうに待っていた。
そんな気を遣う状況でのピパンの台詞……
「そのカボチの男……そんなにも金蔓に見えたのか?」
「わ、解りません……俺には只の“田舎者”に見えてしまって……」
「他人を見た目で判断するのは危険だよ。とは言え……」
「カ、カーブスンさんがルディーさんに物件の事で食い下がってるのかも! 春から入学なのに、住む場所も見つかってませんからね。何とか安くしてもらえる様にって……」
(コンコンッ!)
そんなタイミングだった。
ピピン邸の玄関を遠慮がちにノックし訪問してくる者が。
「あ、ルディーさんが来たのかも!」
両親による初彼女への接し方に居心地が悪いのでは無いかと心配してしまい、彼女と離れるのが寂しいものの彼女の為にも早々に送り返したいと思っているピパンが、複雑な感情そのままで玄関先へと迎えに出た。
「やぁ、遅くなってごめんね」
「いいえ……俺は問題ないですけど、デイジーさんとリュカ様に……」
リビングに通されたルディー……何時もと変わりなく柔和な表情でドリスに挨拶。
「ドリスさんこんばんは。このような時間まで申し訳ございません」
「大丈夫よぉ! こんなに可愛い義娘と一緒に居られる時間が増える分には(笑)」
豪快に笑うドリスにつられる様に笑うルディー。
「お前的に、その田舎者は金蔓になりそうか?」
「それは何とも……」
遅く現れた理由を責められる事も無く、興味があるのか無いのかが解らないリュカが近付き問うてくる。
下手な事も言えない手前、お茶を濁す様な応えで苦笑いになる。
「きょ、
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