暁 〜小説投稿サイト〜
魔法絶唱シンフォギア・ウィザード 〜歌と魔法が起こす奇跡〜
XV編
第207話:見えぬ狙い
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したミラアルクの腕は簡単には振りほどけない。

 藻掻く透を背後から嘲笑うミラアルク。ジェネシスではないが、同じ魔法使いが自分の腕の中で藻掻く姿を楽しんでいるかのようだ。

「このまま、この首へし折ってやるゼ!」

 更に腕に力を籠めるミラアルク。彼女の腕の中で透の首の骨がミシリと音を立てるのを感じた瞬間、透は残された意識と力を全て注ぎ込んで思いっ切り体を倒した。態とバランスを崩した事で2人の体は真っ逆さまになり、そのまま真下に向けて落下していく。

「うぉっ!? こ、コイツ……!?」

 このままでは2人揃って地面と熱烈なキスをしてしまう。そうなる前にとミラアルクは透を解放し、背中に翼を戻して空中に逃れた。残された透は自らライドスクレイパーから振り落とされた形となり、そのまま落下していく。

 そんな彼をクリスが放っておく筈もなかった。

「透ぅぅぅっ!」

 アルカノイズやエルザと戦っていたクリスは、透が上空から落下しつつあるのを見た瞬間他の敵を無視して透の元へと向かい、大型ミサイルを乗り物代わりに落下しつつあった彼の体を受け止めた。
 クリスの腕に抱きしめられた透は、呼吸を整えながら助けてくれた彼女に感謝した。

「げほっ!? ごほごほ……ふぅ。ありがとう、クリス。危ない所だったよ」
「ホントだよ。でもま、無事でよかった。しかし……」

 透の危ない所を何とか助けられた事に、クリスは束の間安堵の表情を浮かべるも次の瞬間には眼下のミラアルクに険しい目を向ける。
 アリスからの頼みもあって何とか捕らえられないかと先程からエルザ共々無力化しようと奮闘してはいるのだが、これがなかなかどうして難しい。単純な戦闘力で言えばどうにかできない事も無さそうなのではあるが、あの2人なかなかに立ち回りが強かで粘り強いのだ。上手い事逃げ回られて一向に有効打を与えられない。

 取り合えずミサイルの推進剤がそろそろ切れそうなので、2人は足場にしているミサイルから飛び降りついでにこのミサイルをアルカノイズの集団の只中へと叩き落した。大型ミサイルと言う事もあって火力も高いミサイルは、多数のアルカノイズを巻き込んで爆発し一掃した。

「よし、これで後は錬金術師共だな」
「うん…………!」

 アルカノイズが軒並み倒された事で、いよいよ追い詰められつつある2人は早々に撤退する事を選択した。元々ここでは騒動を起こすつもりはなかったのだ。何時までもここで時間を潰すのは得策ではない。

 何より、エルザの方は”そろそろ限界が近付いていた”。次第に呼吸と顔色が悪くなっていくエルザの姿に、ミラアルクは彼女に逃げるよう指示した。

「エルザ、そろそろ限界だッ! 逃げるゼッ!」
「ガンスッ!」

 後退しながらテレポートジェム
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