暁 〜小説投稿サイト〜
魔法絶唱シンフォギア・ウィザード 〜歌と魔法が起こす奇跡〜
XV編
第207話:見えぬ狙い
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じゃねえか?」
「別の目的って?」

 口の端にチョコソースを付けながら首を傾げる奏に、颯人は彼女と翼を交互に見ながら考え込む。あのコンサートで、敵が態々リスクを冒す覚悟で狙う程の価値があるモノは何かを考えた。

 その結果、彼の口から出たのは…………

「例えば…………奏か翼ちゃん……とか?」

 颯人の答えに、奏と翼が顔を見合わせた。暫し顔を見合わせて目をパチクリさせていた2人は、次の瞬間揃って顔の前で手を振ってその可能性を否定した。

「いやいや、ないないない。何だってアタシと翼を連中が狙うんだよ?」
「そうです。よしんば敵の狙いがこちらの戦力を削る事だったとして、何かあれば颯人さんや北上を始めとして即応できる戦力が居るんですよ? どう考えても分が悪い」

 自分達が狙われていたかもしれないと言う可能性を否定する2人だったが、話を聞いていたガルドはそれに待ったを掛けた。彼の中で引っ掛かっているのは、ジェネシスの中に錬金術師が紛れていた事である。

「あの錬金術師の少女が何らかの鍵だったと言う可能性はないか?」
「あの吸血鬼みたいなお嬢ちゃんが? 何、どんな?」
「ヒビキが言ってなかったか? あの錬金術師と戦ってる最中、一瞬だが変な感覚に襲われたって」

 アリスから件の錬金術師達に関する話が終わった直後、響は吸血鬼の様な少女・ミラアルクとの戦いの最中に感じた違和感についてアリスに訊ねたのだ。曰く、一瞬だが意識が飛んだような奇妙な感覚を感じたと。

 響の話を聞いて、アリスは即座に彼女の診察を行った。響が戦ったミラアルクは吸血鬼を模した能力を付与された少女。であるならば、それに即した何らかの能力を持っていても不思議ではないと考えたのである。

 検査の結果、響には特にこれと言った異常は見られなかった。ただ、ハッキリした事は言えないが精神に何らかの干渉を受けたような形跡があるらしい。後遺症などが残るようなものではないようだが、大事を取って今響は医務室で待機させられている。

 この話に、颯人は帽子を被り直しながら唸り、手の中に残っていたプレーンシュガーのドーナツを一気に口の中に押し込んだ。

「……あの嬢ちゃんの能力が精神干渉で、コンサートを襲撃しようとしていたのが奏達の精神を揺さぶる事を目的にしていたとしたら……」
「最悪敵に洗脳されてたとしてもおかしくない……な」
「そうね……もしあの場で観客に何かあったら……」

 コンサートでの惨劇は、ある意味でこの2人にとってトラウマに近い。嘗てネフシュタンの鎧の起動実験の隠れ蓑としてのコンサートで、ノイズの襲撃を許し多数の観客が犠牲になった事件は未だに2人の心にしこりとなって残っている。あのコンサートが原因で響は戦いに巻き込まれ、生き残った人達も謂
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