第二章
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だからこそ彼等もこう判断した。
「ではここは」
「うむ、講和を受けようぞ」
「これで河越城は我等の手に入った」
「ここからは北条を押し潰すまで」
「どうとでもなるわ」
この判断の下講和を受け入れることにした。だがその間も相模から密かに出陣した氏康達北条の軍勢は河越城と風魔の者達を使って連絡を取っていた。
河越城の綱成も氏康からの文を見てこう城内の者達に言った。
「諦めることはない」
「殿が来られているのですね」
「この城に」
「左様、来ておる」
だから諦めるなというのだ。
「殿に必勝の策があるとのことだ」
「そうですか。それでは」
「我等は」
「必ず勝つ」
綱成は確かな声で言い切った。
「十倍の敵であってもだ」
「はい、それでは」
「勝ちましょう」
城内の者達も綱成の言葉を受けて心を奮い立たせた。北条の者達はこの状況でも気落ちすることはなかった。
だが両上杉の者達は違った。河越城を明け渡すという直前に彼等は城を囲んだまま宴に入ったのである。
彼等は酒を飲みこう言い合っていた。
「さて、城を手に入れればのう」
「一気に武蔵を奪い返そうぞ」
「そしてそれからはじゃ」
「相模じゃ」
「北条の本丸を攻めようぞ」
「あの小田原城もじゃ」
天下の堅城として知られている。町を壁と堀、石垣で囲んだ巨大な城だ、そうおいそれと攻められる城ではない。
だがその城もだというのだ。
「この大軍ならな」
「うむ、八万の大軍ぞ」
「これだけいて陥とせぬ城はない」
「必ず攻め落とせるわ」
「関東を騒がす成り上がり者も終わりじゃ」
関東は両上杉をはじめ守護大名や国人、既存の彼等の勢力が強い。北条氏はその中では新参者に過ぎないのだ。
だからこそ今もこうして攻められているという一面がある、彼等はあくまで新参者の北条を潰そうとしているのだ。
それだけに河越城の明け渡しは吉事であった。それで宴を開いて祝っていた。
足軽達まで誰もが飲んでいる。八万の大軍全体が浮かれていた。
「あの城も我等の手に戻る」
「さて、それからじゃ」
「武蔵、小田原も陥ちるぞ」
「北条はさっさと駿河に戻れ」
北条氏は元々駿河の今川家の家臣だった。だからこうも言われるのだ。
「駿河のことなぞ興味もないわ」
「勝手にせよ、勝手に」
「関東から消えてしまえ」
こう言って酒を飲み宴を楽しんでいた。彼等は完全に油断していた。
だがその間にも氏康が率いる北条の軍勢は彼等に接近していた。そしてだった。
氏康は彼等に密かに迫ったうえでこう言ったのである。
「ではじゃ」
「はい、いよいよですな」
「これから」
「皆具足に白い布か紙を付けよ」
そうしろというのだ。
「よいな。そうせよ」
「そ
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