暁 〜小説投稿サイト〜
金木犀の許嫁
第二十三話 里帰りその六

[8]前話 [2]次話
「やはりです」
「難しいですね」
「はい」
 まさにとだ、幸雄は答えた。
「やはり」
「ご自身で言われるんですね」
「自覚しているので」
 白華にそれ故にと答えた。
「ですから」
「そう言われるんですね」
「はい、ですが近付くことはです」
「出来ますか」
「少しでも。それと私の名前の幸は家の字ですが」
「真田家のですね」
「幸村様の。ですがそれと共に」
 それだけでなくというのだ。
「実は両親は西本幸雄さんにもです」
「あの、その方は」
 その名を聞いてだ、白華ははっとなって言った。
「かつて阪急と近鉄で監督をして」
「大毎でもでしたね」
「八度リーグ優勝を果たした」
「名将です」
「そうでしたね」
「あの方からもです」
「取られたお名前なんですね」
「そうなのです」
 このことも話した。
「実は」
「そうだったんですね」
「名将であり」
 三つのチームを優勝させたことは伊達ではない、それも合わせて八度もだ。
「人格者でもあられました」
「素晴らしい方でしたね」
「熱意を以て選手を指導した」
「その西本さんのお名前をですね」
「譲り受けています、光栄です」
 夜空に微笑んで話した。
「とても」
「私も知ってますから」
 白華は唸る様にして言った。
「西本さんのことは」
「名将で人格者として」
「そうです、残念ながら日本一にはなれませんでしたが」 
 それでもというのだ。
「日本一以上のものをです」
「残されましたね」
「そうでした、私もです」
「西本さんの様に」
「問題もありました」
 幸雄はこうも言った。
「今から見れば」
「西本さんもですね」
「鉄拳制裁がありました」
「そうでしたね」
 白華も言われて頷いた。
「あの人は」
「選手に何かあれば」
「鉄拳制裁でしたね」
「当時はそうした時代で」
「西本さんもですね」
「殴っていました、怒るとです」
 その時はというのだ。
「非常に怖く」
「しかもかなり怒る人でしたね」
「試合が負けていますと」
 その時はというのだ。
[8]前話 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ