第一章
[2]次話
盲目の音楽家
宮城道雄は目が見えなかった、だが。
その音楽は素晴らしかった、それで高校で琴部に入っている堂島奈央は思った。黒髪をロングにしていて色白で黒目がちのきらきらした目を持っている。大蒜を思わせる形の鼻で唇は赤く背は一五〇位で水色のブレザーとミニスカート、白いブラウスと赤いリボンの制服がよく似合っている。特に脚が奇麗だ。
「目が見えなくてもね」
「よくこんな曲作曲出来たわね」
同級生で同じ琴部の奥山敦美が応えた、奈央と同じく長い黒髪で大きな切れ長の気の強そうな目できりっとした顔立ちである。唇は引き締まり顎の形はすっきりしていて色白だ。背は一六四程で胸がかなり大きい。
「目が見えなくて」
「いや、耳が聞こえたら」
奈央はそれならと言った。
「もうね」
「それで音楽がわかるから」
「出来ると言えばね」
「出来るけれどね」
「それでもね」
「目が見えないってね」
このことはとだ、敦美も言った。
「それだけでね」
「物凄いハンデだから」
「よくこんな曲作曲出来たって」
「思うわよね」
「つくづくね」
部室で彼の曲を一緒に練習してから話した。
「凄いわね」
「それだけで驚くわね」
「本当にね」
二人でこうした話をした、それでだった。
二人でだ、コンクール前に話した。
「今度のコンクールだけれど」
「オリジナルの曲はもう作曲したけれど」
「もう一曲既存の曲を演奏するけれど」
「その曲は宮城道雄の曲にしない?」
こう提案するのだった。
「私達この前試しに演奏してみたけれど」
「いい曲だったし」
「どうかしら」
「いいと思うけれど」
「そうね」
二人の提案にだ、顧問の先生も頷いた。
「あの人の曲は確かに名曲ばかりね」
「そうですよね」
「目が見えなかったなんて思えないですね」
「物凄いいい曲が多くて」
「素晴らしいですね」
「ええ、皆はどうかしら」
先生は二人以外の部員達に尋ねた。
「宮城道雄の曲でいいかしら」
「いいと思います」
「確かにあの人の曲名曲ばかりですし」
「あの人の曲にしましょう」
「コンクールの曲は」
他の部員達も彼の曲は知っていたのでそれならと頷いた、そして練習に入ってコンクールの準備に入った。
そしてコンクールで自分達が作曲したオリジナルの曲だけでなく宮城の曲も演奏した、どちらの曲も丹念に練習した結果コンクールでは受賞出来た、このことを部全体で喜んだが。
奈央はその後でだ、敦美に部活の練習の後で喫茶店に入ってそこで向かい合って座って一緒に紅茶を飲みつつ言った。
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