暁 〜小説投稿サイト〜
星々の世界に生まれて〜銀河英雄伝説異伝〜
激闘編
第八十九話 ヴィーレンシュタイン追撃戦
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味方が齟齬を犯した。ミュッケンベルガーに気を取られ過ぎて後方の警戒を怠った。これではどうしようもない」
「ですが、その状況ならミューゼル中将ではなくとも、どんな艦隊司令官でも勝利は確実なのではないですか?」
「ミューゼル艦隊は会敵後一時間もかからずに第二艦隊を壊滅状態に追い込んでいる。そしてそのまま第四艦隊へと矛先を向けた。第四艦隊に組織的な抵抗をする力がないと見るや、第三艦隊を反転したギースラー艦隊と挟撃して半壊に追い込んでいる。第十艦隊は無事だったが、それでも少なくない被害を出している…ここまで三時間ちょっとだ、誰でも出来る事じゃない」

 ラップが目配せすると、パトリチェフ少佐が慌てて概略図を表示した。今私が話した内容が映し出される。概略図で改めて見ると、流れる様にミューゼル艦隊が動いて行く…際立った手際の良さだ。追撃の各艦隊の距離がそれほど離れていなかったせいもあるだろうが、見事だ……見事と言ってはいけないか…。
「閣下、第九艦隊から超光速通信(FTL)です」
グリーンヒル中尉がそう言いながら通信オペレータに合図すると、通信が司令部艦橋に回された。スクリーンにの中のウィンチェスターは力なく笑っている…大変だったのだろう…。
「そちらに急行していたのですが、ウランフ提督から救援要請を受け現在アムリッツァ星系にて待機しています。第一艦隊も此方に向かっていますので、引継ぎ次第そちらに向かうのですが…旗艦バン・グーの撃沈を確認。ウランフ提督はおそらく戦死なさったものかと…残念です」

“此方にもヴィーレンシュタインやアムリッツァの状況は伝わってきました。どうやら各星系の帝国艦隊にも撤退命令が出た様です、メルカッツ艦隊は後退しました…ウランフ提督が…そうですか”

「帝国軍はハーン宙域にも艦隊を配置していた様です。ウランフ提督はその艦隊の襲撃を受けたと思われます」

“ハーンですか。通常の場合、帝国軍はハーン宙域を軍事行動には使用しないのです。フェザーンに近いですから”

「ええ、過去の戦いからもそれは明らかです。フェザーンの経済活動に支障が出る、それが理由ですね」

“はい。ですが、帝国軍は今回ハーン宙域を通過した…フェザーンが帝国よりに動いた、という事ですね。あ、アムリッツァ、カイタルは無事ですか?”

「ええ、すんでのところで無事の様です。敵艦隊は我々の姿をみて後退しましたから」

“よかった…ヤン提督、此方への移動は不要です。そのままアムリッツァにて待機して下さい。此方もメルカッツ艦隊は後退しました。撤退を見極めるまでは我々はフォルゲンから離れられませんが、もう増援は必要ないと思います”

「了解しました」

“お互いに無事で良かったですね、では”

通信は切れた。
「聞いての通りだ。このままア
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