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星々の世界に生まれて〜銀河英雄伝説異伝〜
激闘編
第八十九話 ヴィーレンシュタイン追撃戦
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馬に蹴られて何とやら…だからね」
「あ、ありがとうございます」
ふう…何だか、怒っていたのが馬鹿らしくなってきたな。何時になるかは分からんが…幸せにしてやるんだぞ、ヤン…。
「中尉のお陰で気晴らしが出来た。もう一杯飲んだら艦橋に戻ろうか」


10月4日04:30
ボーデン宙域外縁(ヴィーレンシュタイン方向)、銀河帝国軍、ミューゼル艦隊旗艦ブリュンヒルト、
ジークフリード・キルヒアイス

 ボーデンでの戦闘経過の概略図が、会議室中央のプロジェクターに映し出されている。九月二十八日に戦闘開始、その後三十日は味方、叛乱軍共に四個艦隊同士が戦闘を続行。互角の膠着状態に終始する。十月一日未明、ミュッケンベルガー司令長官の直衛艦隊が戦線参加、中央に布陣。その後再編成。十月二日朝、中央三個艦隊が前進。同正午、ミュッケンベルガー司令長官直衛艦隊による中央突破が開始される。同午後、ギースラー、シュムーデ艦隊、叛乱軍両翼へ攻撃開始。同夜半、直衛艦隊による中央突破策が成功するも孤立状態に陥り、叛乱軍一次増援の第十艦隊と交戦。同艦隊と叛乱軍第二次増援として出現した第十三艦隊による挟撃態勢を構築され、司令長官は撤退を決意…。

 「第十三艦隊。ふ…はっはっは…」
概略図に叛乱軍の第十三艦隊が投影されると、ラインハルト様は頭を抱えて笑い出した…。
「ヤン・ウェンリーめ、我々との戦闘の後ボーデンに向かったのか、道理で見つからない訳だ。私はとんだ道化ではないか」
「ラインハルト様、叛乱軍は我々の動きを饒回運動だと看破したのだと思います。その隙にヤン・ウェンリーは撤退ボーデンに向かった…我々とヤン艦隊が交戦し、痛み分けに終わったのは九月三十日未明ですから、急行すれば十月二日にはボーデンに到着可能でしょう…ですが常識的に考えて同数の艦隊が対峙している状況で、兵力を撤退させるなど考えられません。おそらくウィンチェスターの策謀でしょう」
「…そうだな。普通なら味方が劣勢になるのが分かっていて自分だけ余所に向かおうなどとは思うまい。しかし、またしてもウィンチェスターか」
ラインハルト様はきつく拳を握りしめていた…おそらくウィンチェスターはヤン・ウェンリーの動きを隠すために自らメルカッツ艦隊に向かったのだろう。その状況ならヤン艦隊がメルカッツ艦隊の後ろを取る為に移動中と此方に思わせる事が出来る。現にあの時ラインハルト様はそう考えた。ヤン艦隊の後背に回ろうと饒回運動を開始した矢先だったのだから…。
「しかし、次は立場が逆です。我々が叛乱軍の追撃部隊に逆撃を加えるのですから」
そう、次は立場が逆転する。ボーデンの主力の撤退の報を受けたメルカッツ提督は、我々に主力艦隊の援護に向かえ、と言ってくれたのだ。

“ウィンチェスター艦隊は私が足止めをする。卿はヴィーレンシ
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