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星々の世界に生まれて〜銀河英雄伝説異伝〜
激闘編
第八十九話 ヴィーレンシュタイン追撃戦
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なのだ“
そう言うグリーンヒル大将の顔は、話す内容とは正反対の表情だった。横に立つチェン参謀長も苦虫を噛み潰したような顔をしている…おそらく私以外の艦隊司令官達に押し切られたのだろう、司令官達は今グリーンヒル大将が口にした内容そのままを上申したに違いない。確かにミュッケンベルガーを倒す事が出来れば、その功績は比類無い物になる…。
「…分かりました。確かにその通りです」

“うむ。申し訳ないが貴官は急ぎフォルゲンに戻り、第九艦隊の援護に当たってくれ。第九艦隊はメルカッツ艦隊と交戦中だ”

「了解しました。直ちに第九艦隊の援護に向かいます」

“ヤン提督、済まないな”

「いえ…」

 通信が終わった途端、ラップがベレー帽を床に叩きつけた。
「何を考えているんだ方面軍司令部は!帝国軍は余力がある内に撤退したって分からないのか!」
「落ち着け、ラップ。分かっているさ司令部は」
「だったら何故だ。方面軍の任務はアムリッツァの防衛だろう、帝国軍の追撃などどうでもいい筈だ」
激昂が止まらないラップに、コホンと咳をしてムライ中佐が話し始めた…おそらく艦隊司令官達に押し切られたのでしょう、ミュッケンベルガー元帥という獲物は余りにも大きい物です……。
「そんな事は分かっているさ!俺が文句を言いたいのはそこじゃない、司令部が艦隊司令官に押し切られた、って事にだ!」
全くその通りだよラップ…意見具申と言えば聞こえはいいが、他の艦隊司令官達は連名でグリーンヒル大将の命令に異を唱えたに違いない、グリーンヒル大将やチェン参謀長の顔を見れば一目瞭然だ…。
「ヤン、お前もだ、何が分かりました、だ!大体だな、追撃戦をやるなんてウチの艦隊は聞いていない、誰かそんな通信を受けたのか?受けちゃいないだろ!」
ラップは普段は物静かだが本質は熱い男だ。上官に対しても物怖じせずに物を言う。
「それにだな、ウチの艦隊が間に合ったからこそミュッケンベルガーは撤退を決めたんだ、それはヤンだけじゃない、皆分かっている筈だ!」

 そうだ。第九艦隊と合流後、ウィンチェスターから依頼された。自分が前に出るから密かに後退してボーデンに向かって欲しい、と。ミューゼル艦隊は負けたままでは終わらないだろうが自分が何とかする、増援が第十艦隊だけでは味方が手詰まりになる恐れがある、ボーデンの味方を救って欲しい、と……ミューゼル艦隊の動きが饒回運動ではないかと推測したウィンチェスターは、我々の撤退を隠す為ににメルカッツ艦隊へ向けて前進した。そしてその動きは成功した。撤退後、アムリッツァ宙域を掠めるようにボーデン宙域に急行、ボーデンの戦場に到着した。我々はミュッケンベルガー艦隊を側面から攻撃する為に第十艦隊を迂回する態勢に入ったが、此方の意図に気づいたのだろう、挟撃体制を構築する前にミ
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