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高卒の知将
第二章

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 令和になってだ、彼は日本ハムの監督新庄剛志を観て言った。
「想像以上に凄いな」
「二年連続最下位だったのに」
「一気に飛躍しましたね」
「その最下位の時もいいところ多かったですし」
「名将ですね」
「頭も冴えてますね」
「うん、やるかもとは聞いてたよ」 
 彼は強い声で言った。
「新庄さんはね」
「しかし予想以上ですね」
「そう言っていいですね」
「選手の起用も育成もよくて」
「采配もいいですね」
「現役時代は監督に向いていないタイプに思われても」
「いや、名将は学歴で決まらなくても」
 かつて野村に言われたことを思い出して言った。
「しかしね」
「それでもですね」
「新庄さんは予想以上ですね」
「高卒とかじゃなくて」
「監督に向いていないとか思われても」
「知識と応用がいいのかな、というか観てるよこの人」
 新庄はというのだ。
「本当にね」
「チームを観てますね」
「選手一人一人まで」
「それで采配執っているから」
「凄いですね」
「そうだよ、本当に監督は」 
 この立場の人物はというのだ。
「知識とその応用だね」
「それで決まりますね」
「よく観てよく学んでよく考える」
「それからですね」
「そうだよ、学歴とかじゃ決まらないんだ」
 周りに強い声で言い切った。
「知将や名将は」
「全くですね」
「いや、新庄さん凄いです」
「何か野村さんを彷彿とさせますね」
「野村さんのところにいましたし」
「全くだよ」
 笑顔で言った、そして新庄の野球を観ていった。その野球には確かに名将の風格が漂っていると彼は感じた。


高卒の知将   完


                 2024・6・21
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