第二章
[8]前話
やはり首の後ろを咥えて連れて行った、モスはその様子も見てまた観光客に話した。
「ここでもです」
「さっきとは別のライオンですね」
「はい、ですが」
それでもというのだ。
「あの通りです」
「子供には愛情深いですね」
「母親のライオンは子供が生まれますと」
モスはライオンの習性の話もした。
「一時群れから離れまして」
「子育てをしますか」
「子供が群れで普通に暮らせる様になるまで」
「自分だけで育てますか」
「そしてその育て方は」
「あの通りですね」
「愛情深いものです」
こう話した。
「非常に」
「そうなのですね」
「はい、そして」
モスは話を続けた。
「間違っても谷に突き落とす」
「自分の子供を」
「そこから這い上がってきた子だけを育てるという」
「とんでもないことはしないですね」
「そもそもそんなことをする生きものはいません」
モスは笑って話した。
「人でもやれば」
「立派な虐待ですね」
「そんなことをする本人をです」
「谷から突き落とすべきですね」
「そうです、ですがライオンは決してです」
「そんなことをせず」
「ああしてです」
今日見た様にというのだ。
「心優しいです」
「そうした生きものですね」
「そのことを覚えてくれますか」
「是非」
笑顔でだ、観光客は頷いて答えた。
「そうさせて頂きます」
「そうしてくれると何よりです」
モスはその返答に笑顔になった、そうしてだった。
ジープを他の場所に向かわせた、二人は車中で楽しい時間を過ごした。ライオンの優しさを知って語ったので。
お母さんライオンの優しい愛情 完
2024・6・20
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