第七章
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「そうですね」
百合子は隆一の黒子を、隆一は百合子の痣を見ていた、そのうえでの言葉だった。
「その黒子を見た時に思ったのよ」
「僕も痣を」
「何か。一緒にね」
「いたいって思いました」
「不思議よね」
百合子は微笑んで隆一に言った。
「こう思えるなんて」
「そうですね。何か最初からこうなる予定だったって思えますよね」
「どうしてかわからないわ。しかもそれがね」
「当然に思えますね」
「隆一君もなのね」
「それで百合子さんも」
「隆一君を見ていたら」
特にその黒子、それをだった。
「自然に思えるわ」
「僕もです」
隆一は百合子の痣を見ていた。首筋のその痣を。
「百合子さんを見ていたらそう思えます」
「本当に不思議だわ。けれど」
「はい、それでもですね」
「これからもずっと一緒に」
「いましょう」
二人は笑顔で言い合った。そして。
二人は無意識のうちにこうも言い合った。あの頃の姿が心に宿って。
「やっとこうして」
「一緒に」
二人で見詰め合っての言葉だった。二人は巡り会い一緒になることができた、それは二人が知らない運命によるものであった。輪廻は今二人の願いを適えたのである。
続・輪廻 完
2012・10・21
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