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お母さんライオンの優しい愛情
第一章

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                お母さんライオンの優しい愛情
 南アフリカのクルーガー国立公園に隣接しているマラマラ野生動物保護区でガイドをしているマイケル=モス明るい顔立ちで褐色の肌の大柄なアフリカ系の彼は保護区に来た観光客をジープで案内しつつだ。
 保護区の中にいる一匹の雌ライオンを見て話した。
「彼女ですが」
「今木の上にいますね」
「面白いですよ」
「面白い?」
「はい、ああしてです」
「ガウ」
 見ればだ、その雌ライオンはだった。
 木の上に登った、そしてだった。
 四匹の子供達を観下ろした、その仕草は。
「子供達に登る様に言っていますね」
「わかりますね」
「はい、ああしてです」  
 まさにというのだ。
「木登りを教えてるんです」
「そうなんですね」
「あの通りです」
「ガウ」
 まずは元気のいい子が登った、すると。
「ああしてです」
「登れた子は優しく舐めてあげてますね」
「そうして褒めてるんです」
 モスは観光客に車のハンドルを持って笑顔で話した。
「そして他の子達もです」
「どんどん登ってますね」
「ああしてです」
「ガウ」
「ガウッ」
「ガウウ」
 残り三匹もそれぞれ登る、不器用な子もいるが。
 雌ライオンはどの子も登ったのを受けてその三匹も優しく舐めて褒めた、観光客はその様子を見て言った。
「ライオンって怖そうで」
「愛情豊かなんですよ」
「そうですね」
「そうした生きものなんです」
 モスは笑顔で話した、そうしてだった。
 ジープで他の場所に行くとだった、車道でだった。
 別の雌ライオンが車道を渡る時連れている二匹の子供達をだった。
「ガウ」
「ガウ」 
 まずは中々進まない一匹の首の後ろを咥えて車道の向こうに連れて行き。
 停車している車の下に入ったもう一匹を出してだった。
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