第一章
[2]次話
血のつながっていない姉
山村竜真には姉がいる、その姉はというと。
「親父が再婚してな」
「相手の人の連れ子さんか」
「そうなんだよ」
通っている高校の屋上でクラスメイトの須田瑞山に答えた、グレーの詰襟の制服で目は三白眼で眉は細く顎はすっきりしている。箒を短くした様な黒髪で背は一七一位で痩せている。
「一つ上で」
「じゃあ今大学生か」
「一回生でね」
「急にお姉さんが出来るなんてな」
須田はここまで話を聞いて言った、長方形の彫のある顔で目は小さく唇は分厚い、全体的にモアイに似ていて黒髪は真ん中で分けている。長身で引き締まった体格だ。
「漫画みたいだね」
「漫画じゃよくあるね」
「うん、そうだね。それなら」
「ああ、そこからそういう漫画みたいな」
「展開は」
「ないよ」
山村は須田にはっきりとした声で答えた。
「全くね」
「ないんだ、まさか」
須田は山村の返事にまさかという顔になって応えた。
「お姉さんの外見が」
「こんな人だよ」
山村はこう言って自分のスマートフォンに画像を出して須田に見せた、そこにはかなり大きな胸でセットしたブロンドの長い髪の毛に青い目で優しい顔立ちの白人の女性がいた。
「どうかな」
「外国の人なんだ」
「お母さんがニュージーランド生まれでね」
「この人もなんだ」
「そうだよ」
「まさかの白人さんなんだ」
「うん、性格は優しくて温厚で謙虚で気遣いが出来て」
今度は人柄の話をした。
「凄くいい人だよ」
「そうなんだ」
「お義母さんもいい人で」
「家族が増えたねやったねだね」
「正しい意味でそうだよ、けれどね」
山村は淡々とした声で話した。
「あくまで家族で」
「そうしたことはないんだ」
「何一つとしてね」
こう言い切って実際にだった。
山村は実際にその姉エイミーとは何もなかった、血のつながりがないとはいえごく普通の家族同士であった。
それで家の中でも普通に接しているが今テレビの前でだ。
エイミーはジーンズとティーシャツ姿でペンライト片手に右に左に激しくそのペンライトを振って踊ってだった。
アイドルの応援をしていた、そのうえで言うのだった。
「いや、NMBはいつも最高です」
「義姉さんアイドル好きだね」
「はい、日本の女性アイドルが」
エイミーは彼に顔を向けて微笑んで答えた。
「大好きです」
「アイドル命だね」
「そうです、ただ竜真さんはですね」
「アイドルは好きでも」
そうであるがというのだ。
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