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冥王来訪
第三部 1979年
迷走する西ドイツ
脱出行 その2
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いに下った!
「総員突撃!」
 機関銃は、咆哮を始めた。
一斉に小火器から、火を噴く。

 おびただしい銃声の、殷々とした轟音が鳴り響く。 
 飛び交う銃弾の、その数はだんだんと多くなり、やがては部屋の中までが、かすめて飛び始めた。
大部隊が発生させる靴の音が、ある一か所に向かって、集中されていく。
 マサキは用心深く立ち上がって、窓際の死角に向かうと、リボルバーを外に向ける。
殷々とした音を響かせて、マグナム弾は敵陣に飛んでいった。
 その途端、激しい機関銃の音が前面から聞こえ始めた。
銃弾は続いて、マサキが元居た場所に降り注いだ。
 やがてマサキの頭上めがけて、銃弾の音がかすめていく。
そこでやむなく、マサキはしゃがんでいるしかなかった。
 同じように、しゃがんでいたキルケは、首を傾ける暇もなかった。
頭上を、ピュンピュンと、風を切っていく銃弾が通り過ぎていく。
 戦闘は予想通り、息つく暇もなく激烈を極めた。
燃えいぶる建物の内から、銃弾が飛んで来るのをものともせずに、GSG-9隊員は煙の中を銃を盲射(もうしゃ)し始める。
 硝煙(しょうえん)を嗅ぐと、なおさら彼らの気は、そぞろに(たけ)(みだ)れた。
この状態は、古参兵(ベテラン)でも、捨て身になりきれるまでの間には、どうしても一度は通る気持ちだった。
 
 燃え盛るレストランから、一人の人影が飛び出してきた。
50歳前後の男で、ワイシャツにスラックス姿だった。
「撃つな、助けてくれ」
 少なくも、7、80挺はあろうかと思われる短機関銃の影がうごいた。
それが皆、ひとつ焦点へ銃口を向けたのである。
「撃つな、俺はこの店のオーナーだ!」
 店の入り口に立っていたオーナーは、当然、蜂の巣となるべき場所に位置していた。
 隊員たちは、パパパッと、銃弾をあびせかけた。
オーナーは、つるべ撃ちに銃弾をうけ、打ち倒された。
 レストランの建物は、漠々たる煙塵に包まれ始めていた。
あの火と煙を見ていれば、この中には、今、生きたものは猫一匹いないであろう。
 誰も彼もが血走った眼を火線に曝し、汗ばんだ手でピストルの銃把を握りしめている。
一際激しい炎と煙の中に向かって、装甲車から軽機関銃を浴びせるものがあった。
「おい、どうした。何を撃っている」
機関銃手は、そう聞かれて大真面目に答えた。
「敵の戦術機だ。
見ろ!あそこに、堂々と姿を現したじゃないか」
 気違いのたわごとだろうか。
ますます燃え盛る炎と煙の中から、何かがうごめきだしてきた。
「ゼオライマーだ!」
 誰かが怒鳴った。
のども破れんばかりに怒鳴っている。
「退却だ、退却!」
 機銃手の言葉は、本当だった。
しかも、GSG-9の頭上近くを、小癪なまでに堂々と落ち
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