第百三十一話 悪魔がいないその十一
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「もうね」
「人間ね」
「そうでしょ」
こう言うのだった。
「身体はどうでもね」
「そうね」
実際にとだ、かな恵も頷いた。
「そう言われるとね」
「バケモノって何か」
「心がそうよね」
「サイコ殺人鬼とかね」
そうした輩はというのだった。
「もう身体はどうでもね」
「バケモノよね」
「だからね」
それでというのだ。
「身体の問題じゃないのよ」
「心ね」
「そうでしょ、人間のバケモノっていうけれど」
「身体は人間でも」
「心がバケモノでしょ」
そうだというのだ。
「そうした意味でしょ」
「バケモノは何か。そういえば」
かな恵は富美子の人間のバケモノという言葉に頷いて考える顔になった、そのうえでこう言ったのだった。
「八条分教会の信者さんだった」
「あのどうしようもない人ね」
「お仕事しないで」
まずはこのことから話した。
「それで偉そうに言って」
「学歴も職歴もなくて」
「失業保険なくなりそうになったらまた働いて」
「すぐに辞めてまたなくなりそうになって働いて」
「それの繰り返しで」
そうであってというのだ。
「奥さんが働いてお料理作って」
「そのお料理に文句ばかりで」
「そんなのだから逃げられて」
「爪切りまで持って行ったって言ったのよね」
「爪切りまでお世話になっていて」
かな恵は実に嫌なものを語る顔で話した。
「何も感謝しないで」
「そんなこと言う器の小ささがね」
「しかも人に言う無神経さで」
「そこから天理教のお世話になっても」
「天理教の悪口ばかり言って」
嫌そうな顔のままさらに話した。
「親戚の人のお家に上がって」
「お邪魔しますも言わないで」
「大飯食べてお風呂に入って」
「お金貰って帰って」
「お財布落としたとか言ってせびったり」
「そんなことの繰り返しで」
「親戚の人に注意されてね」
富美子も嫌そうな顔でその輩のことを語った。
「身体の悪い叔父さんに」
「それで怒って殴ってやろうかで」
「人の部屋に勝手に入って本漁って」
「親戚のお葬式で家族でもないのに上座に上がる」
「そんな人よね」
「もうこんな人もね」
どうかというのだった。
「酷過ぎて」
「餓鬼になっていて」
そうしてというのだ。
「人間のバケモノよね」
「餓鬼がバケモノならね」
留奈もそれはと応えた。
「その人こそまさによね」
「心が餓鬼、バケモノだからね」
「人間のバケモノよね」
「バートリーさんや青髭さんとは違ったタイプの」
「どうしようもないって意味でね」
「ここまで酷くなったら」
かな恵はここでも嫌そうな顔で話した。
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