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嘘告白をしたら駄目な相手
第一章

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               嘘告白をしたら駄目な相手
 愛と誠という昭和の恋愛漫画を読んでだった、高校で剣道部に所属している盛田光泰大きな丸い目と薄い唇に卵型の顔と黒いスポーツ刈りにやや太った一七二位の体格の彼は友人でひょろ長い身体に胡瓜の様な顔で小さな目の伊藤秀幸に言った。二人共濃紺ノブレザーにグレーのズボンに赤いネクタイと白いブラウスの制服姿である。制服の左胸には校章のマークがある。
「嘘告白ってあるよね」
「いじめとか罰ゲームである」
「ここ男子校だからないけれどね」
「男子校であったら怖いよ」
 伊東はそれはと返した。
「告白自体が」
「そうだよね」
「うち進学校だから勉強ばかりでね」
 私立のそうした学校であるのだ。
「ストレス溜まってるとか言われて」
「そうしたことがあるとかね」
「言われてるみたいだけれど」
「実際はないしね」
 盛田は真顔で応えた。
「これが」
「有り難いことにね」
「うん、それで嘘告白をするにしても」
 盛田はそちらに話を戻した。
「生真面目な人にはね」
「ああ、したら大変だろうね」
 伊東もそれはと答えた。
「君今愛と誠読んでるけれど」
「うん、壮絶な恋愛漫画だよ」
 こう伊藤に話した。
「本当に」
「僕も読んだことあるけれど」
「凄いね」
「今こうした恋愛ものはないね」
 伊藤は真顔で語った。
「君の為なら死ねる、全てを賭ける様な」
「そうした恋愛ものはだね」
「ないね、一途で必死で妥協のない」
「全てを賭けた様な恋愛は」
「僕は恋愛経験ないけれど」
「僕もだよ」
 盛田もこう返した。
「幸か不幸かね」
「失恋のダメージを受けていないこと思えば幸せじゃないかな」
「そう考えたらいいかな」
「あのダメージは相当だていうし」
 だからだというのだ。
「その経験がないならね」
「僕達は幸せだね」
「それで人間性が百八十度変わった人いるらしいし」
「失恋って怖いんだね」
「そうみたいだよ、しかし愛と誠のキャラクターに嘘告白なんて」
 そうした行いはというのだ。
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