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金木犀の許嫁
第二十二話 里帰りの準備その十一

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「結界を張っていますが」
「それでもですね」
「神戸はです」
「そんなに強くないですか」
「ですから」
 その為にというのだ。
「そうした悪しき妖怪もです」
「いますか」
「そうです、神戸にも魔を退く決機械はあるでしょうが」
「でしょうが、ですか」
「京都や東京程強くないので」
 それが為にというのだ。
「私も具体的にどれが神戸の結界とは言えないです」
「そうですか」
「はい、八条町には多くの神社仏閣がありますが」
「結界としてはですか」
「やはり弱いかと」
 そうではないかというのだ。
「どうしても。ですから」
「それで、ですね」
「そうした妖怪もです」
「入ってきますか」
「そして」
 そのうえでというのだ。
「動きます、ですが倒されているのなら」
「いいですね」
「悪質な吸血鬼は魔王に匹敵します」
 その力はというのだ。
「ましてユダの末裔となると」
「物凄いですか」
「力の強い吸血鬼の中でも」
 特にというのだ。
「ユダの末裔はです」
「特に強いですか」
「ですから」
 それでというのだ。
「神戸に来たとしても倒されているなら」
「有り難いですか」
「そう思います、まあこれは只の噂なので」
「真相はわからないですね」
「ですから」
 それでというのだった。
「もう忘れて下さい、噂は噂です」
「真実ではないですね」
「噂は鵜呑みにせず」
 そうしてというのだ。
「検証することです」
「事実かどうか」
「そして検証出来ないなら」
 それならというのだった。
「信じないか忘れることです」
「どちらかですね」
「はい」
 まさにというのだ。
「鵜呑みにすることはよくないです」
「そのことを忘れない様にします」 
 真昼は幸雄の言葉に確かな顔と声で応えた、夜空達も彼女に続いた。そうしてそのうえで二人の家の里帰りの準備をするのだった。


第二十二話   完


                   2024・4・15
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