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博士の挑戦状
第百五十四話

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              第百五十四話  母に言うこと
 華奈子は自分の制服を着る前に母に言った。
「お母さん、タイツかストッキング穿いていい?」
「いいわよ」 
 母は自分の二人の娘のうちの一人に答えた。
「あんたの好きにしなさい」
「それじゃあね」
「あんたタイツかストッキング好きよね」
 母はこうも言った。
「スパッツも」
「わかってたの?」
「わかってるわよ、いつも見てるからね」
 母親としてというのだ。
「わからない筈ないでしょ」
「そうなのね」
「それでね」 
 母は華奈子にさらに言った。
「色は黒か濃い色でしょ」
「うん」
 華奈子はその通りだと答えた。
「色はね」
「じゃあ好きなの穿きなさい。寒い時にはね」
「まだ寒いわね、そういえば」
「身体を冷やしたらいけないのよ」
「身体に悪いのよね」
「そう、特に女の子はね」
 こう娘に言うのだった。
「だからね」
「タイツとか穿くといいのね」
「あんた半ズボン好きだから余計にね」  
 母は華奈子のこのことも知っていた。
「いいのよ」
「そうなのね」
「身体を冷やさない為にも」
 ファッションだけでなくというのだ。
「穿いていいわよ」
「それじゃあね」 
 華奈子は頷いて黒いストッキングを穿いた。
「これでいいわね」
「似合ってるわよ」 
 母は華奈子に笑顔で言った。
「いい具合にね」
「そうなの」
「ええ、だからね」 
 それでというのだ。
「あんたが好きなら」
「このファッションでいけばいいわね」
「似合ってるし暖かいでしょ」
「うん、だからいいのね」
「そうよ、服はね」
 母は服自体の話もした、それは美奈子に対しても話すことだった。


第百五十四話   完


                 2024・3・31
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