第十九話 最初の決戦その十七
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「これはまた」
「そうだよな」
チケットが応えた。
「死ぬ時で決まるなんてな」
「自分がどう思うかによって」
「本当にな」
「難しいお考えよね」
「やっぱりこの人頭いいぜ」
「そうよね」
「頭がいい、か。しかしだ」
ドクターマンは二人にも応えて言った。
「私は愚かだった」
「人間というものがわかっていなかったからか?」
「そうだ」
ナビィにその通りだと答えた。
「まさにな」
「そう言うんだな」
「ずっとな」
「それで人間に絶望したんだな」
「わかっていなかったが故にな」
「そうなんだな」
「後悔してもし足りない」
ドクターマンは苦い顔になって述べた。
「わかっていなかったからこそだ」
「絶望してか」
「憎悪し軽蔑してな」
「ギアを立ち上げてか」
「滅ぼそうと動いた」
そうしたというのだ。
「私はな」
「わかっていれば憎まないのね」
ワゴンはその話を聞いて言った。
「そうなのね」
「そのこともわかった」
「貴方にしても」
「そうだった、理解しようともしなかった」
ドクターマンはこうも言った。
「人間を、そして絶望してだ」
「憎んで軽蔑して」
「否定していた、だが理解するとだ」
「そうした感情は持たなくなるのね」
「そうだ」
まさにというのだ。
「そのこともわかった」
「理解することって大事なんだな」
チケットはドクターマンの今の話を聞いて思い言った。
「つくづくな」
「そうだね、僕も君を理解したいよ」
森下はそのチケットを胡散臭げに見つつ彼に告げた。
「どうもね」
「俺をか?」
「君が一体何者かね」
「俺は俺だよ」
「そうですよ」
車掌も明るく言ってきた。
「彼は彼ですよ」
「他に何だって言うんだよ」
「そうかな」
今度は車掌を見て言った。
「実はもう一人とか」
「そこどう見てもだよな」
「そうだよね」
森下はナビィにも応えた。
「本当に」
「実はな」
「違うからな」
あくまでこう言うチケットだった。
「気にするなよ」
「まあそこまで言うなら」
「いいけれどな」
森下もナビィもよしとした、もっと言えばよしとするしかなかった。
「それならな」
「もうね」
「私も気になるがいいだろう」
ドクターマンも言って来た。
「別にな」
「そうだよな」
「うむ、だが私は笑わないこともな」
このこともというのだ。
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