第十九話 最初の決戦その十六
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「そう見えるかも知れない」
「そう思うのね」
「今はな。だが私自身はな」
「わからないのね」
「そうだ、不幸だと言う者もいるだろう」
「それはな」
遊びに来ているナビィが応えた。
「そう見えるよな」
「そうですよね」
車掌も来ていて言ってきた。
「やはり」
「ギアの崩壊とかな」
「ギア創設に至るまでのお考えを見ますと」
「やっぱりな」
「幸福とは言えないかもしれないですね」
「そうだな、だがギアでは彼等と共にいてだ」
自身が造り出した者達のことを思い出しつつ話した。
「満ち足りていた、そして若き日はな」
「どうだったんだ?」
「学問に励んでいた」
ナビィに答えた。
「そうしていてだ」
「幸せだったのか?」
「子供の頃からひたすら学び打ち込んでいてな」
「お勉強にか」
「ひいては学問にな」
そちらにというのだ。
「打ち込んでいてな」
「そうしてか」
「充実していた」
「そうだったんだな」
「充実していたらな」
車掌の右手のチケットが言って来た。
「それだけでな」
「不幸ではないですね」
「そうだよな」
「不幸を感じたことはなかった」
ドクターマンはチケットの言葉に頷いた車掌にも答えた、内心腹話術ではないかと思いつつそうした。
「全くな」
「そうだったんだな」
「それは何よりですね」
「何かを学び造る時は常にだ」
ドクターマンはさらに話した。
「不幸と思うことはなかった」
「充実を感じていたんだな」
「そうだったのですね」
「楽しかったよな」
「そうした時は」
「そうだった、そして今は静かに暮らしていてだ」
沖縄の土産物屋の店長としてというのだ。
「誠実で真面目な店員達とも共にいてな」
「充実していますか」
「そうなっている」
黒木に答えた。
「そうしたことを振り返るとな」
「不幸とはですね」
「言えないかとも思う」
「そうですか」
「そしてこれからもな」
その余生もというのだ。
「どうなるかわからない、人の一生は最後に決まるか」
「その時どう思うかですね」
「そうだ、幸せだったか不幸だったか」
その様にというのだ。
「思うかでな」
「決まりますか」
「そうかも知れない」
こう言うのだった。
「若しかしてな」
「随分難しいお考えね」
ワゴンはここまで聞いて思った。
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