第十九話 最初の決戦その十五
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「私もな」
「だから今もですね」
「思い出してからはな」
森下に答えて話した。
「一時たりともな」
「そうなんですね」
「私の子供達だからな」
彼等をこうも言った。
「だからな」
「それで、ですね」
「忘れない、そして彼等もだ」
「人間と同じですか」
「人間も機械もな。よくなっていく」
「完璧ではなく」
「そのことがわかった」
そうだというのだ。
「今の私はな。人間は機械と同じだけだ」
「素晴らしいですか」
「そうした存在だ、もう私が機械で何かすることはない」
決して、そうした言葉だった。
「最早な」
「そうですか」
「それよりもな」
さらに言った。
「店を経営していきたい、幸い私はまだまだ生きられる」
「それはどうしてだよ」
「身体のかなりの部分が機械だからだ」
チダに対して答えた。
「それ故にだ」
「ああ、その身体だからか」
「余生と言ったが」
それでもというのだ。
「その余生はな」
「長いか」
「普通の人間より遥かにな」
「どれ位の長さだ」
ゴリサキはドクターマンに問うた。
「それで」
「それはわからない」
これがドクターマンの返事だった。
「ただ優に生身の人間の一生位はだ」
「あるのか」
「そうだ」
ゴリサキに確かな声で答えた。
「それが幸か不幸かはわからないがな」
「それでもか」
「私の余生は長い」
またこう言ったのだった。
「生身の人間に比べてな」
「それでもあまり嬉しそうじゃないな」
「人の一生は送った者はどう思うかだ」
「その人が不幸って思ったら」
ウサダが応えた。
「それで不幸なのね」
「長く生きてもな」
「そういうことね」
「私は自分が幸せか不幸せかわからない」
ドクターマンはここでも達観した様に言った。
「だが長い余生を送ることは確かだ」
「機械の部分が多いから」
「メンテナンスは私が行っている」
ドクターマン自身がというのだ。
「それが出来ている限りだ」
「長く生きられるのね」
「そうだ、しかしな」
「幸せは不幸せかはなのね」
「まだわからない、いや傍目から見れば不幸せか」
こうも思って言った。
「私の人生は」
「そう言うの?」
「振り返って思った」
自分の人生をというのだ。
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