激闘編
第八十八話 国境会戦(後)
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宇宙暦795年9月30日22:00
フォルゲン宙域、フォルゲン星系第八軌道近傍、自由惑星同盟、自由惑星同盟軍、第九艦隊旗艦グラディウス、
ヤマト・ウィンチェスター
「第十三艦隊、我々の後方に遷位しました」
ワイドボーンがホッとした表情で状況を報告した。第十三艦隊は小惑星帯を出て後退、我々と合流した。ラインハルトは…追ってはこなかった。奴等だって再編成するのは今しかない。
「閣下、第十三艦隊のヤン提督より通信です」
「了解、スクリーンに出してくれ」
“増援ありがとうございました、ウィンチェスター提督”
「いえいえ、マイクの分艦隊だけで申し訳ないです」
“助かりましたよ。あれが無ければ敵の両翼を押し返す事は出来ませんでした”
「艦隊の状況は如何です?」
”ダグラス分艦隊はお返しするとして…ようやく四千隻、といったところでしょう“
「いえ、そのままそちらの増援としてこき使って貰って結構ですよ。再編成が終わりましたら、また連絡下さい」
“了解しました”
通信は切れた。このまましばらくは睨み合いという訳か…しかし、気になる事がある。ラインハルトの戦術能力がそれほど高くない気がする。今、ラインハルトは何歳だっけ…十九だっけか?十九で艦隊司令官…でも原作だと十八歳で分艦隊クラスの艦隊率いてるんだよな…。第六次イゼルローン要塞攻略戦でも、攻め寄せた同盟軍に対して色んな戦術を試した…って描かれていた。自らの戦術能力に磨きをかけていったって事だ。でもこの世界のラインハルトは、参謀として軍歴を重ねている。しかも大貴族、ヒルデスハイムのおっさんの参謀としてだ…まさか原作と違って司令官としての経験が足りないからなのか?充分に考えられる事だ…。
参謀と指揮官は違う、あくまでも参謀はスタッフに過ぎない。決断するのは指揮官だ。参謀が代理指揮を執る場合もあるが、よほどの事がない限り戦闘状態の指揮を任される事はない。あえて悪い言い方をすれば、自分の発言に責任がないから、参謀は色んな進言が出来ると言っていい。しかし指揮官は違う。全ての責任を負っているのだ。自分自身も含めて決断ひとつで人が死ぬ、一人や二人じゃない、何万人もの人々がだ。その責任の重さが決断を狂わせる事だってあるのだ。改めて考えると指揮官ってヤバいな…艦隊司令官やっている俺も、ヤバい奴なのかもな…。
「どうかなさいましたか?何やらお考えの様でしたが」
ミリアムちゃんが心配そうな顔をしている。そんなに深刻そうな顔に見えたんだろうか…。
「いやね、少しこの後の事を考えていたんだ」
ラインハルトの事はとりあえず置いとこう。この後睨み合いが続くとしてだ…ただ睨み合ってていいもんだろうか。主戦場のボーデンが心配だ。兵力的には第十艦隊が加わってやっと互角だか
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