激闘編
第八十八話 国境会戦(後)
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は間違いない。
「ここからは我慢比べだな」
「ああ。眼前の戦闘を諦めて援護に来てくれる艦隊を待つか、此方が変針して後退するか」
再び戦闘は膠着状態に陥った。何れの艦隊も戦闘を放置して我々の援護に来る事は難しいだろう。この艦隊を除けば、敵味方で四個艦隊同士が戦っているからだ。おそらく味方は四個艦隊合わせても残存兵力は三万隻に満たない筈だ。対する叛乱軍は未だ四万隻以上は存在する筈だった。どの味方艦隊が我々の救援に来ても、戦闘を継続する味方三個艦隊は著しく不利となる。
「撤退を進言しようと思う」
「俺達は新参だ。進言など受け入れられないに決まっている。煙たがられるのがオチだ」
「新参者だからこそ司令部内での余計なしがらみも少ない。それにこれ以上の戦闘は無意味だ。兵達を無駄死にさせるだけだぞ…司令長官も艦隊司令官達の実力は把握した筈だ。このまま戦い続ければ各艦隊の中核を残す事すら難しいぞ」
「…了解した。行くか」
ミュッケンベルガー司令長官はどうお考えなのだろう。麾下の艦隊の実力を図るのが目的とはいえ、一定の戦果は欲しい筈だ。
「…何やらオペレータ達が騒がしいぞ、見てくる」
そう言ってオペレータの元に向かったケスラー少将が急ぎ足で戻って来た。
「第十艦隊の後方から近付く所属不明の艦隊が存在する様だ。敵味方の判別が付かないので報告を躊躇っていたらしい。規模は七千隻程の様だ」
ケスラー少将は沈痛な面持ちだ。この状況で所属不明といえば叛乱軍としか考えられないではないか!
「進言は後だ、グライフス総参謀長に報告しよう」
私達の報告を聞いたグライフス総参謀長は一瞬だけ顔色を変え、そのまま司令長官の側に行き、耳打ちし始めた。
「おそらくは…」
「ああ、進言は必要なくなったな」
撤退の進言を考える事と、それについて納得する事とはまた別の話だ。残念だ。本当に残念だ…ミュッケンベルガー司令長官は固く拳を握りしめ、大きく深呼吸すると、よく通る声で命令を発した。
「撤退する」
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