激闘編
第八十八話 国境会戦(後)
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から攻勢に出る事も可能だったのだが…。
「今動かしては敵の両翼に対処する時間を与えてしまう、もう少し様子を見る」
参謀長も同じ意見なのだろう。今第十艦隊を動かしても右翼か左翼に移動させるしかない。どちらに動かしても敵の中央三個艦隊に対しては有利に戦えるが、待機している敵の両翼が更に外側から攻撃参加するだけだろう。結局状況は変わらない…。
「閣下、敢えてミュッケンベルガー艦隊に突破させてはどうでしょう」
「わざとかね?」
「はい。そうすれば後方の第十艦隊がミュッケンベルガー艦隊と対峙できます。無論、ゼークト、シュトックハウゼンの両艦隊を止める事が前提ですが」
「成程な。そうなればミュッケンベルガー艦隊は孤立するな」
「はい。ただ、第一、第二艦隊は目の前の敵で手一杯でしょうから包囲攻撃は難しいでしょう。ですがミュッケンベルガー艦隊が孤立すると相手に思わせる事は出来ます。そうすれば他の敵艦隊もどうにかしてミュッケンベルガー艦隊を救おうとする筈ですから、何らかの打開策は見い出せると思います。撃破に拘らず、撤退に追い込むと考えれば…」
そうか、そうだな。撃破に拘るべきではなかった、追い返せればよいのだ。
「敵の両翼、動き出しました!それぞれ此方の両翼に向かっています!」
オペレータが今にも泣きそうな声をあげている…しっかりしろ、まだ負けてはいないのだぞ。
「参謀長、各艦隊にシャトルを出してくれ。単座戦闘艇もだ」
10月2日19:40
銀河帝国軍、帝国軍総旗艦ヴィルヘルミナ、
エルネスト・メックリンガー
「突破!完全に突破しました!」
オペレータが歓喜の声をあげている。よく役割を理解しているオペレータだ、こういう時はいつも以上に声を張り上げなければならない。概略図に映る敵の第一、第二艦隊の方陣形は無惨な姿を晒している。此方の両翼…シュムーデ、ギースラー艦隊も叛乱軍の両翼に襲いかかっている。後はこの艦隊がどちらかに変針し敵の両翼のどちらかを包囲すれば……どうした?
「前方に新たな敵集団、叛乱軍第十艦隊です!」
オペレータが新たな報告をあげた。後方に位置していた艦隊か……そうか、そういう事か。
「ケスラー、どうやら叛乱軍はこの艦隊を敢えて突破させた様だ」
ケスラーは一瞬顔色を変えたが、元の冷静な表情に戻ると概略図を見つめている。
「成程、無傷の第十艦隊にこの艦隊の対処をしようという訳か。同時に我々は孤立する事になる…」
崩れた筈の叛乱軍第一、第二艦隊は横隊陣に陣形を変化させようとしていた。
「我々を抑えきれないと見えたのは擬態だったのだ、叛乱軍も中々やる」
叛乱軍第一、第二艦隊はゼークト、シュトックハウゼン艦隊と対峙しているので後背から攻撃を受ける事はないが、我々が敵中に孤立してしまった事
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