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星々の世界に生まれて〜銀河英雄伝説異伝〜
激闘編
第八十八話 国境会戦(後)
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…兵力を分派した叛乱軍九艦隊は小惑星帯に入らずに小惑星帯に沿って移動……これを饒回運動と見たミューゼル提督は後退を開始……。
「機雷を全て爆破するとはな」
「戦闘中だ、回収は出来ない、それならいっそ、という事だろうな。ミューゼル艦隊は混乱しただろう」
「そうだろうな…概略図を見ると本隊の後方の艦艇はまだ啓開路の途上に位置している。両翼も全てが突破出来た訳ではない。戦闘を行っていたのは艦隊の本隊前衛と両翼の八割程だろう。後退するとなると、再び啓開路を使わねばならない。そこで機雷を爆破…盛大な花火だな」
沈んだ艦艇は存在しなかったが、爆破のあまりの熱量の為にセンサーに異常をきたした艦が続出、後退を継続したものの行動は停滞した…。
「この隙に叛乱軍十三艦隊は後退して小惑星帯を離脱、小惑星帯の外側を進んでいた叛乱軍九艦隊は急速反転、移動していた元の針路を急速移動、両艦隊は合流…鮮やかだな」
「敵ながら…洗練された戦術は芸術足りうる、そうは思わないか?」
「貴官らしい見方だなメックリンガー。饒回運動自体がミューゼル艦隊を後退させる為の物だったのだろうが、これ程鮮やかな連携を取るとは叛乱軍にも出来る奴等が居るな。またウィンチェスターか?」
「うむ。叛乱軍十三艦隊の司令官はヤン・ウェンリーという男だ。ウィンチェスターは九艦隊の司令官という事だ」
「エル・ファシルの英雄とアッシュビーの再来の組み合わせか」

 ケスラーは肩をすくめて嘆息した。
「難敵だな。地の利があるとはいえ叛乱軍十三艦隊は混乱する事もなくミューゼル艦隊の攻勢を防いでいる。まあ時間さえかければ殲滅は可能だろうが、第九艦隊の饒回運動とも取れる行動を見て余裕が無くなったのかもしれない。兵力を分派したとはいえ、第九艦隊は一万二千隻程は保持しているのだからな」
ミューゼル提督は、叛乱軍の饒回運動を見てメルカッツ提督に警告を発している。この時点では叛乱軍九艦隊が自分達の後方に回ろうとしているのか、メルカッツ艦隊の後方に回ろうとしているのか判断は出来なかったのだろう。
「これは心理戦だな」
「心理戦?」
「ああ。ミューゼル提督は…当時のヒルデスハイム艦隊でだが、ウィンチェスターに破れている」
「俺達も所属していたのだから当事者ではないか。それがどうかしたのか」
「ケスラー、卿はあの時何処に居た?私はベルタ提督の司令部に所属していた。卿は確か…ナッサウ分艦隊の司令部に居たのではないか?」
「そうだが…そうか、俺も卿も直接ウィンチェスターとは戦っていない。俺達はハーンに向かっていたのだからな。だが本隊の指揮は…指揮権を預けられたミューゼル閣下が執っていた…」
自分の指揮した初めての戦いで自らは負傷、当時の上司ヒルデスハイム伯爵も重傷を負った。ヒルデスハイム艦隊の本隊も壊滅寸前となった
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