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星々の世界に生まれて〜銀河英雄伝説異伝〜
激闘編
第八十八話 国境会戦(後)
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敵は中央突破を図るものと思われる、注意せよ」
「はっ」
ミュッケンベルガーが中央突破を図るとすれば、此方は第一、第二艦隊でその意図を挫くしかない…だがそれを阻む為にゼークト、シュトックハウゼン艦隊もミュッケンベルガーの援護として第一、第二艦隊への攻勢を強化する筈だ。下手をすると此方の両翼まで敵の中央部の攻勢に引きずられてしまう、いや、そうなるだろう…。
「右翼第三艦隊、左翼第四艦隊に連絡、敵の攻勢に注意、中央部の援護に留意せよ」
「はっ」
チェン参謀長は命令を復唱した後、小脇に抱えていた紙袋からおもむろにクロワッサンを取り出し、食べ始めた。
「…これは失礼しました、閣下も如何ですか?」
私の視線に気付いたのだろう、済まなそうにクロワッサンを勧めて来た。いや、食べたいんじゃないんだが…その紙袋、一昨日から持っていなかったか?
「いや、私は遠慮しておこう」
「そうですか。多少時間の経ったパンでも、湯気を当てれば結構美味しく食べられるものですよ」
何時湯気を当てたのだろう。多少時間が、とは言うが、パンにとって二日間というのは多少の時間ではないだろうに…。
「ふ、ははは、やはり貰おうか」
「さあ、どうぞ。コーヒーも用意させましょう」
何だか余計な力が抜けた気がする。参謀長のおかげ、いやクロワッサンのおかげかコーヒーのおかげ…いや全部だな。


10月1日02:00
ボーデン星系、銀河帝国軍、帝国軍総旗艦ヴィルヘルミナ、
エルネスト・メックリンガー

 叛乱軍の中央、第一、第二艦隊が方形陣に陣形を変えつつある。此方の中央突破に備えての事だろう。
「見破られているな」
「ああ。だが、この程度も看破出来ないのでは興醒めというものではないか?ケスラー少将」
「確かにな…敢えて分かりやすくしているのだからな。ところでメックリンガー少将、フォルゲンからの報告は見たか」
フォルゲン星系から、戦闘の中間報告が届いていた。叛乱軍十三艦隊は小惑星帯に布陣、機雷を敷設していた様だ。ミューゼル提督が攻撃を開始、指向性ゼッフル粒子でまず両翼が啓開路を開き前進して突破を図った。これに対し叛乱軍十三艦隊も両翼を前進させ啓開路を塞ぎにかかる…この状況に叛乱軍が慣れたところでミューゼル艦隊の本隊が啓開路を作り本隊が前進突破を図った…兵力の劣る叛乱軍十三艦隊は先に展開した両翼を呼び戻し、ミューゼル艦隊の本隊に対処、この隙にミューゼル艦隊両翼が前進突破…。

 「見事だな」
「うむ、見事だ。艦隊司令官として初陣とは思えぬ。だが…」
「叛乱軍が巧妙だな」
「ああ」
叛乱軍に増援の第九艦隊が出現、この艦隊から分派された約二千五百隻が叛乱軍十三艦隊の右翼に合流、十三艦隊は元からいた右翼の分艦隊を一旦後方に提げ、そのままスライドさせて左翼の厚みを増した
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