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お母さんの取り合い
第二章

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「お昼にカレーを食べてから絵本を買いに行きましょう」
「最初は僕で」
「次は私なの」
「順番で公平にね」
 こう子供達に話した。
「そうしましょう」
「そうだね、それがいいね」
 夫も笑顔で応えた、見れば優しい顔ですらりとした長身で黒髪をスポーツ刈りにしていて清潔な身なりである。
「もうお昼にしてもいい時間だし」
「それじゃあね」
「お母さんの言う通りにしよう」
 子供達に言い聞かせる様にして言ってだった。
 夫婦で子供達の手を引いていった、二人はその光景を見届けてからちょうど休憩時間が終わったので店に戻った。
 薊は仕事が終わってから家に帰って母の花梨自分そっくりだが目尻に皺があり髪の毛に白いものが混じってきている彼女にこのことを話すとだった。
 すろとだ、母に笑って言われた。
「それあんた達もだったわよ」
「私も?」
「そうよ、杠葉とね」
 薊の妹で大学生の彼女と、というのだ。
「子供の頃はね」
「お母さん取り合っていたの」
「子供は母親が絶対だから」
 そうであるからだというのだ。
「それでね」
「二人いたらお母さん取り合うの」
「何人でもね」
「そうなのね」
「大事なものは独占したいでしょ」
「ええ」
 薊はその通りだと答えた、家のリビングでくつろぎつつ話した。
「特に子供の頃はね」
「まだ自制心もないしね」
「独占したいと思えば我慢出来ないわね」
「だからよ」
 それでというのだ。
「あんたが今お話したみたいにするのよ」
「そうなのね」
「子供は皆そうよ」
「私達もそうだったのね」
「そうよ、それでその杠葉もお父さんも戻ったら」
「ご飯ね」
「もう準備は出来ているから」
 夕食のそれはというのだ。
「二人もそろそろ帰って来るし」
「それで帰ってきたら」
「ご飯よ」
「わかったわ、そのご飯は何かしら」
「カレーよ」
 母はにこりと笑って答えた、そして一家全員でそのカレーを食べた。姉妹は別に母を取り合うことはなく今は仲良く食べた。


お母さんの取り合い   完


                   2024・6・16
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