第3部
サマンオサ
その頃の勇者たち(ユウリ視点)
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眺めている。
「へ〜。ユウリちゃんってば、何だかんだでミオちんのこと、絶対来るって信じてるんだね」
「!!」
ザル女ごときに図星をつかれ、俺は言葉を失う。駄目だ、こいつのペースに飲まれてるくらい、どうやら俺は疲れているようだ。
「……違うなんて言えないだろ」
「そうだよね。それでいいんだよ、ユウリちゃん」
何がいいのかわからないが、たまに見せるこいつの上から目線な態度が気に入らない。一体俺のなにがわかるっていうんだ。
「あーあ。ユウリちゃんをからかってたらお腹空いてきちゃった。何かご飯でも出ないかな」
「お前は一生酒でも飲んでろ」
「なんか扱い方急に雑じゃない!?」
こうしてる間にも、あいつの事を考えてしまう。けれど今までなら、心配はしても期待はしなかっただろう。今回あいつを信じることにしたのは、ようやくあいつが俺の隣……の隣の隣くらいまで立てると思ったからだ。シーラに言われるのは癪だが、俺ができるのは信じて待つことだけ。そう思わせてくれたのは、今までの旅の経験があったからこそだ。
誰かの無事をこんなに祈ることも、かつての俺なら考えられなかったことだろう。
「頼む……。無事でいてくれ」
自分にしか聞こえないくらいの小さな声で、俺は神に縋るように呟いた。
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