暁 〜小説投稿サイト〜
魔法絶唱シンフォギア・ウィザード 〜歌と魔法が起こす奇跡〜
XV編
第206話:アリスの過ち
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 アリスの答えに了子が小さく手を上げて訊ねた。パヴァリア光明結社は錬金術を扱う組織。その組織と人体改造が結びつかず、了子は違和感を感じずにはいられなかったのだ。

 その了子からの問い掛けに、アリスは吐き捨てる様に言葉を紡いだ。

「錬金術師は完全を希求する存在……その意義に則り、完全なる生命を作り出す一環で神話・伝説上の怪物を再現する目的で体を改造されたのでしょう。本当に、くだらない……」

 アリスは自分で言ってて腹が立ったのか、奥歯を噛みしめ血が滲むのではと言う程拳を握り締める。普段の温厚で心優しい彼女からは想像できない姿に、思わず気圧されそうになりながらも響は気になっていた事を訊ねた。

「それってつまり、この人達は無理矢理こんな事をさせられてるって事ですか?」
「でしょうね。大方、組織から逃げ出した後にジェネシスに囚われて取引を持ち掛けられたんでしょう。元の体に戻りたければ従え、と言う風に」
「ん? 魔法ってそんな事も出来るのか?」

 実際ミラアルク達は人間の体を取り戻す為にジェネシスに半ば強制的に協力させられている。そんな彼女達を乗せられるくらいなら、実際に魔法の中にはそんな効果を持つものもあるのかとガルドが首を傾げた。

 アリスはその疑問を一蹴する。

「無理ですね。いえ、厳密に言えばない事は無いのですが、少なくともジェネシスの魔法使いがそんな魔法を態々作るとは思えないのでまず彼女達は無駄働きをさせられていると思います」

 他人の弱みに付け込み、叶えるつもりもない約束を取り付け言いなりにする。その卑劣なやり口に誰もが大なり小なり嫌悪感と怒りを抱く。

 そんな中で、了子が気になっていた事を訊ねた。

「それは分かったんだけど……ねぇアリス? あなた、彼女達の事について何か知ってるの?」

 思い出すのは前日、戦いが終わった直後のアリスの姿だった。悔恨と怒りに肩を震わせたその姿は尋常ではなく、彼女とミラアルク達の間に何か因縁めいたものを感じずにはいられない。
 その時の事を知らない颯人達は何の事かと首を傾げていたが、当の本人は僅かに視線を彷徨わせた後、大きく息を吐き心を鎮めるとその問いに答えた。

「簡単な話です。彼女達があんな体になった、その原因を作り出したのが他ならぬ私だからです」
「えっ!?」
「どういう事、ですか?」

 まさかの発言に奏が思わず言葉を失い、エルフナインが詳細を訊ねる。見渡せば奏以外の装者だけでなく、ガルドと透もあまりの衝撃に言葉を失った様子だった。静かに話に耳を傾けているのは、彼女の息子である颯人ただ1人。

「……私が元はパヴァリアの錬金術師だったと言うのはもう承知の上でしょう」
「父さんに惚れて組織抜けたんだって?」
「ほ……ん、まぁ、
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