暁 〜小説投稿サイト〜
魔法絶唱シンフォギア・ウィザード 〜歌と魔法が起こす奇跡〜
XV編
第206話:アリスの過ち
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 ジェネシスによるツヴァイウィングの凱旋コンサート襲撃は完全に失敗した。観客どころか会場にすら一切の被害を与えられず、また訃堂より依頼されていた翼の精神を揺さぶる事も達成する事が出来なかった。
 全ては先見の魔法で未来を予見していた颯人により徹底して対策を立てられていた事が最大の敗因であるのだが、それでプライドの高いメデューサが納得できるはずもなく彼女は幹部2人を殊更に非難した。

「全く……あれ程前々から準備しておきながらこの体たらくとはね。お前達2人は随分とぬるま湯に浸かっていた様ね。ベルゼバブ? オーガ?」

 見下した目を向けてくるメデューサに、ベルゼバブもオーガも奥歯を食い縛る。実際、幹部が2人も実戦に出ておきながら成果ゼロと言う事実は揺るがしようが無いので反論しようにも出来ない。ここで下手な事を言う事は更にメデューサに弱みを見せるも同然だったので、胸の内で荒ぶる怒りと屈辱を押し殺し耐える以外の事が出来なかった。

 押し黙る2人にメデューサはつまらなそうに鼻を鳴らすと、彼女は標的を同席しているミラアルクへと向けた。

「お前も、一体何の為に拾われたと思っているのかしら? ただ飯を喰らう為に居るのなら、さっさとサバトに掛けてしまっても構わないのよ、私は」
「ッ!?」

 メデューサの言葉にミラアルクは息を飲み顔を強張らせた。

 そもそもの話、彼女達3人がジェネシスと行動を共にしているのは全くの偶然によるところが大きかった。

 アダム敗北後、組織を維持できなくなったパヴァリア光明結社は瓦解し在籍していた錬金術師達も好き放題に出奔した。その多くは完全に姿を眩ませる前に組織の後釜として起ち上げられた錬金術師協会に拾われ、それに従わない者はS.O.N.G.に捕縛されるなどしていた。
 ミラアルク達3人はその混乱に乗じて組織から逃げ出した、錬金術師であり実験体であった。3人共何かしらの理由により組織の実験動物として飼われ続け、明日をも知れぬ日々を送っていた。そんな中で起こった混乱に、3人は光明を見出し脱走した。全ては、元の人間としての体を取り戻す為に。

 だがその逃亡の最中、彼女達はワイズマン達により囚われてしまった。ジェネシスとしては、この混乱に乗じて錬金術師を捉えてサバトに掛け配下の魔法使いを増やす事を目的としていた。しかしワイズマンは、ミラアルク達の境遇を知ると彼女達にある取引を持ち掛けた。

 それは端的に言えば、組織の小間使いとして働けと言うものであった。奇しくもミラアルク達は、人体実験により人間どころか普通の錬金術師をも超える超人的な肉体を手に入れていた。その分リスクなどもあるが、それでもそれぞれの持つ特異な能力は驚異的であり、工作員として使い様があると言う判断である。
 勿論それに対する見返りを
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