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星河の覇皇
第八十六部第五章 傍目に見つつその十四

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「誰もが平等としています」
「連合市民ならば」
「あの国で差別が肯定されることはありません」
「何があっても」
「そうだ、差別は偏見であるとだ」
 このことがというのだ。
「はっきりわかっていてだ」
「定義されていて」
「そして否定されていますね」
「その面での人権も保障されていて」
「守られていますね」
「あの国では」
「そうだ、だからだ」
 それ故にというのだ。
「あの国の差別なぞだ」
「マウリアの定義された差別とは違いますね」
「宗教で認められていて」
「それが実質的に法律にも影響している」
「そうした差別はですね」
「あの国では存在していませんね」
「私は連合を見てきた」
 あえて旅行してだ、ジャバルは連合全体を巡ったその旅で連合を知ってそのうえでマウリアの差別のことを語るのだ。
「あの国はな」
「実際にですね」
「差別は存在していても」
「マウリアのカーストと比べれば」
「何でもないですね」
「意識する程のことではないですね」
「そうだ」
 まさにというのだ。
「あの国はな、だからな」
「それで、ですね」
「連合の者達にはわからないですね」
「時折マウリアのカーストのことを言いますが」
「その実は」
「彼等は階級が存在しない国で生まれ育って来た」
 法律でそのことがはっきりと定義されたというのだ。
「人種、宗教、民族、職業、性別でだ」
「違いはない」
「完全に」
「だからですね」
「その彼等がわかるか」
「我々のことが」
「わかる筈がない、まして連合は各国の外交官達ですらだ」
 マウリアのことを知っている筈の彼等でもというのだ。
「マウリアのことを碌に知らない」
「連合の中でのみ外交を行っていて」
「マウリアにまでは手が及んでいないですね」
「もっと言えば関心すらないです」
「そうした状況です」
「流石に中央政府や主要な国家は確かな外交官を置いてだ」
 大使を筆頭としてだ。
「マウリア通の者達を揃えているが」
「それでもですね」
「小国になりますと」
「大使一人を派遣する位ですが」
「大使は一軒家でインターネットで情報を収集して母国に送る」
「それ位ですから」
「大使も募集して応えた者を送る位で」
 たまたま仕事がなく外国に長く暮らしても問題はないという者を送るのだ。
「そうしたものでは」
「マウリアを知る者が来るか」
「そうはないですね」
「そう思いますと」
「あの国がマウリアのカーストのことを知っているか」
「あの国の者達が」
「それはない」 
 そうそうというのだ。
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