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不可能男との約束
日常の変動
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内心でエコーが掛りそうな落ち込みの声を出しながら、とぼとぼ歩く。
ネイトは今は、周りの事を気にしていないのだが、周りからは何だ何だという視線で見られているのである。
普段なら気付いているはずの視線なのだが、今はネイトの視線は己の内に向いているので仕方がない事ではある。
ともあれ、どうしてこうなったかと言うと、三河の時はまぁ、あの時は色々と忙しかったから、仕方がないという言い訳が成り立つ。
それまでは、力を発揮しない彼に対して、どう接すれば良かったのか解らなくなったという事。
そして、三河以降は───はっきり言えば惰性である。
彼と二人で会話する機会がなかったのだと言えば、それも事実なのだが、その気になれば、その機会を得られなかったという訳でもなかった。
つまりは結局の事は怠惰である。
王の一番の騎士でありながら情けないと思いつつも、決心がつかないのである。

我ながら嫌な性格ですわね……

王は自分の一番の罪を受け入れつつも、否定することが出来たというのに、その騎士がこの有様では、我が王に申し訳ないし、彼にも申し訳ない。
そういう時は誰かに相談するべきなんだろうけど……

喜美はちょっと問題がありますし……智は、副長限定なら相談し辛いですし……ハイディはお金を払わなきゃいけませんし、ナイトとナルゼは絶対ネタにしてきますし、アデーレもこういう悩み事なら、ちょっと合わない気がしますし、鈴もちょっと違いますし……ホライゾンもそうですし……。

こういう事で相談し易い友人がいないというのも困ったものである。
というか、し難い理由がネタにされるとか、お金を払わなければいけないというのはどういう事だ。
ともあれ、消去法的には直政と正純が一番適任であるのだが、これに関しては、自分が勇気を持てない。
一番簡単な解決方法は素直に謝りに行くことなのだが、それが出来ていたら苦労しない。
はぁ、と溜息を吐いて、ようやく配置に付く。
そこで表示枠を繋げ、他のメンバーと話をする。

「こちら第五特務。品川に着きましたわ」

『おお、早かったで御座るな。こちらも位置に付けた所で御座るし……ナイト殿の方はどうで御座るか?』

『うん。こっちも着いたよ。見たところ、まだステルス障壁は解いてないから、後、五分ってところかなー?』

どうやら、他の特務達も着いたらしい。
そうなると、少し暇になるので、雑談でもと思って、話を始めた。

『今頃、他の人達は……何か、今、多摩の方から変な音が聞こえたのですが……?』

『ああ。今、確か多摩の方にはトーリ殿とホライゾン殿が行っているはずで御座る』

『あ、成程。じゃあ、別に異常事態じゃないね』

うんうんと全員で頷く。

『他の者は……ちょっと盗聴でもしてみるで御座るか』

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