第14話
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ーー!?あんさんがウトロ決戦をサボったら、アバンはどないして『空裂斬』を会得するんでっか!?」
ガンガディアは異元扉の言い分に呆れていた。
「何を言っている?今は勇者アバンより大魔王バーンだろ?」
だが、ハドラーちゃんの考えは違った。
「そっちも既に手は打ってある!ただ、その為だけに禁呪法を使うのは心苦しいがな」
「つまり、その代理がハドラー様の代わりに勇者アバンと戦うと?」
が、異元扉はその言い分にも納得しない。
「何言ってますねん!?アバンがそんな新入り相手に『凍れる時間の秘法』を使うと、本当に思っとるんでっか?」
それに対し、ハドラーちゃんは邪な微笑みを浮かべた。
「何を言っておる?アバンに『凍れる時間の秘法』などと言う時間の無駄はさせんよ」
異元扉は理解に苦しんだ。
「……じゃあ……アバンはどないして『空裂斬』を会得するんでっか?」
それに対し、ハドラーちゃんは意味深な謎を残した。
「何を言っている?フレイザードが耳にタコが出来るほど言っておったではないか。見た目が大事……とな」
そして、ウトロ決戦当日。
ハドラーちゃんを『凍れる時間の秘法』を使って封印しようと息巻くアバン。
その両隣には、アバンの悲壮な決意に賛同したマトリフとブロキーナがいた。
「遂にこの時が来ちまったなアバン……解ってると思うが……」
アバンの悲壮で真剣で決意が籠った眼差しを視た途端、マトリフの台詞の続きは喉の奥へと引っ込んだ。
(アバンの奴、本気で『凍れる時間の秘法』を成功させる気だよ。本当なら、老い先短けぇ俺が変わってやりたいがな)
だが……
「アンタがハドラーちゃんが言ってた『勇者アバン』かい?」
アバンの許を訪れたのは、魔法の筒を2つ持ったフレイザード2号のみであった。
「お嬢さん、何しに来たかは知らんが、ここはもう直ぐ危険な激戦地になる。逃げるなら―――」
それを聞いたフレイザード2号は、邪悪な笑みを浮かべながらこう述べた。
「ハドラーちゃんが『凍れる時間の秘法』から逃げたと言うのに?」
アバン達は驚きを隠せなかった。この展開はアバンにとってウトロ決戦における最悪のシナリオだからだ。
皆既日食が終わる前に『凍れる時間の秘法』の発動準備を整え、魔王ハドラーを眼前に引き摺り出さなければならないからだ。その為のウトロ決戦。
なのに、肝心のハドラーちゃんに『凍れる時間の秘法』を使った作戦をまんまと見抜かれ、このウトロ決戦の約束を反故されたのだ。
アバンの顔がみるみる青くなる。
そこへ、ハドラーちゃんの幻影が姿を現す……のだが、
「何だ何だ?その色っぽい衣装は?柄じゃねぇだろ」
ハドラーちゃんが着用している衣装は、フレイザード2号から渡された…
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