第一章
[2]次話
鳥は人を助けてくれる
今ライトノベル作家の谷崎義則ペンネームうっちゃり丸は困っていた。
「仕事が続いてね」
「それでか」
「疲れているよ」
友人の田沼久、面長で小さな目と微笑んだ形の唇を持つ黒く短い髪の毛で痩せた長身の彼に喫茶店で話した、眼鏡をかけて穏やかな表情だ。黒髪は真ん中で分けていて中背で痩せている。
「何かとね」
「寝てるかな」
「寝てはいるよ、食べものにも気を付けているよ」
「健康ではあるかな」
「ジムにも通ってね」
そうもしてというのだ。
「健康だけれど精神的にね」
「疲れているんだね」
「そうなんだ」
「そうした時は趣味で解消したらどうかな」
「ストレスをだね」
「うん、どうかな」
「趣味はゲームに読書に」
谷崎は趣味と言われて言った。
「他は」
「何があるかな」
「そのジム通いだね、あと昔は」
「昔は?」
「今も実家にいるけれどインコが好きでね」
「鳥だね」
「飼っていて育てていたよ」
そうだったというのだ。
「昔はね」
「じゃあまたやってみたらどうかな」
「鳥を飼うんだ」
「そのインコをね」
「それが疲れを取ることになるかな」
「アニマルヒーリングでね」
「生きものに癒される」
「そうだからね、どうかな」
「それじゃあ」
正直精神的な疲れを何とかしたかった、鬱にもなりそうでだった。
彼は一羽の緑のインコを飼いはじめた、すると餌をやったり躾をしたりしているうちに自然とだった。
気持ちが和らいで精神的な疲労が回復した、それで家に田沼を呼んで一緒に酒を飲んでその場で言った。
「君の言った通りね」
「表情が穏やかになったね」
「疲れが取れているね」
「うん」
友人は笑顔で答えた。
「取れているよ」
「そうだね、家で鏡を見てもね」
「疲れが取れているね」
「そうなっているよ」
「そう、生きものが一緒にいたら」
そうであればというのだ。
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