第二章
[8]前話
「しっかりとな」
「休日出勤も駄目ですね」
「私はこうして会社にいるからわかる、無理はするな」
絶対にというのだ。
「いいな」
「ご自身は働かれて」
「社長だ、それにだ」
「それに?」
「私は仕事が趣味だ」
こうも言うのだった。
「だから構わない」
「働かれても」
「そうだ」
全くというのだ。
「別にな」
「そうですか」
「そういうことでな」
仕事を続けつつ言った、そして彼はこの日は十二時過ぎまで働いていた。それは休日も同じで彼は社長としてだ。
働き続けた、そんな彼を見てだった。
息子の親信父親そっくりの彼は自分が社長になるとだ、
それまではワンマンだった社長の権限を重役達にも分散させてだった。
そうして働いていった、するとだった。
彼の仕事も楽になった、定時ではなく休日出勤もあったが。
「前社長の様にはですね」
「働いていないね」
「そうですね」
「遥かにね、父は働き過ぎだったよ」
こう言うのだった。
「本当に。それで今はね」
「お身体を壊されて」
「会長だけれど」
その役職にあるがというのだ。
「満足に働けないよ」
「そうなられていますね」
「社長でもね」
「やはり無理は禁物ですね」
「働き過ぎると」
そうなると、というのだ。
「誰でもよくないよ」
「そうですね、では」
「私はこのやり方でいくよ」
「権限もお仕事も分散させて」
「社長が全部抱え込まない様にして」
そうしてというのだ。
「そのうえでね」
「経営していきますね」
「そうするよ」
こう言って仕事をしていった、すると誰もが彼も含めて楽になった。ただ社長として必要な権限は持ったままだったので内紛等は起きなかった。
休まない社長 完
2024・6・15
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