第一章
[2]次話
休まない社長
佐治親弘の家は自分が社長を務めている会社があるビルの最上階にある、そこから会社に出勤しているが。
「あの、今日は何時出勤ですか?」
「六時半だが」
佐治は社員にこう答えた。面長の顔で目じりに皺がある四十代の男だ。その目は小さく唇は薄くショートの黒髪には白いものが混じっている。背は一七〇位で痩せている。
「それがどうした」
「速いですね」
「六時に起きて歯を磨いて飯を食ってスーツを着てな」
「出勤されましたか」
「そして働いている」
「それで昨日は何時に帰られましたか」
「十二時だ」
夜のというのだ。
「すぐに着替えて寝た」
「あの、昨日も六時半出勤だったので」
「働き過ぎか」
「流石に」
「六時間は寝ている」
「そうですか?」
「少し昼寝をしてな」
そうしてというのだ。
「昼食の後でな」
「お弁当ですね」
「妻が作ってくれたな」
「そうですか」
「夕食もだ」
これもというのだ。
「ちゃんと食べている」
「お家に戻ってですね」
「妻とな、だからだ」
「問題ないですか」
「もっと言えば家にジムもあるしな」
それでというのだ。
「夕食後自転車でな」
「汗をかいて」
「運動もしているからな」
「健康ですか」
「そしてそこで風呂も入っているしな」
運動の後でというのだ。
「問題ない」
「それでも何か」
「働き過ぎか」
「普通に十二時間以上働いてますが」
「十五時間か十六時間だな」
「幾ら何でもそれは」
「社長だからな、ただ君達はちゃんとだ」
佐治は社員にはこう言った。
「定時に着てだ」
「定時に帰れ、ですか」
「残業はしないでな、休日出勤もだ」
「駄目ですね」
「労働時間は守ることだ」
これはというのだ。
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