五百年分の魔力
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ほどの拳の連撃。それも響自身の両腕だけではなく、彼女の黄金の巨腕もまた、肉眼の認識以上の速度で拳を魔法陣に叩き込んでいく。
「っ!?」
その時、キャスターの表情に驚きが現れる。
彼女はきっと、察知していたのだろう。
もう、防ぎ切れないと。
「我流・金剛激槍ッ!」
響の巨大な拳が回転し、ドリルとなる。より威力を高めた拳は、そのままキャスターの魔法陣を貫き、その黒い肉体に届いた。
キャスターを地面に叩き落とし、彼女の姿が土煙に巻き込まれる。
着地した響は、肩で呼吸しながらキャスターを見据えていた。
「……すげえ……」
ビーストは唖然とした。
これまでキャスターに、明確にダメージを与えられた参加者がいただろうか。
変質した中学校も我が物顔で横断し、邪神イリスを葬り、ディケイドさえも警戒したあのキャスターに。
「ほう……」
むっくりと起き上がったキャスター。
彼女の体は確かにコンクリートにクレーターを作る程だったのに、ほとんどダメージが見受けられない。
だが。
「やるな……ランサー」
「もう、終わりにしよう? キャスターさん……それに、フロストノヴァさんも、パピヨンさんも……!」
響は参戦派の者たちへ訴える。
周囲に沈黙が流れるが、やがてパピヨンが「フン」と鼻を鳴らした。
「いいだろう……この場は俺の負けのようだ。ランサー……お前のことはもう少し調査してから改めて臨むことにしよう」
パピヨンは眼鏡のように蝶のマスクを吊り上げる。やがてその姿は、集まる蝶たちの中に消えていった。
同時に、何も語らないまま、フロストノヴァの姿も局所的な吹雪の中に消えていく。
修羅場を脱した響は、シンフォギアの変身を解除し、生身のまま倒れかける。ビーストは慌てて彼女へ駆け寄り、その背中を支えた。
「おい響、大丈夫か?」
「な、何とか……」
響は肩で呼吸しながら、最後に残ったキャスターを見やる。
すでに魔導書を閉じ、その服装から甲冑も無くなっているキャスターは、静かに響を見つめていた。
「キャスターさん……」
「ここでお前を倒すのは簡単だが……マスターからはお前たちには手を出さないよう命令を受けている……」
「……? お前は、参戦派じゃなかったか?」
「マスターの目的のためだ」
キャスターは目を閉じる。
やがて、彼女の姿もまた、暗い闇に覆われていく。
「マスター……暁美ほむらの目的?」
ビーストの姿はコウスケに戻る。響に肩を貸し、安定した状態でもう一度訪ねる。
「聖杯戦争が目的じゃねえのか?」
「お前たちにこれ以上説明する必要はない。いずれ、お前たちの力も必要になる時が来る。その時まで……生きながら
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