五百年分の魔力
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スターまで相手にしなければならなくなる。響も奪われているこの状況でそれは、死に直結する。
「さあ、私のものになりなさい……ん?」
だが、魔法を発動させた姿勢のままのアウラは眉を吊り上げた。
ビーストも、それがウィザードを支配する際、天秤が傾いたのを確認している。その時は、一度結果が出た後は揺らぐことのないものだった。
だが現在、それは徐々にだが傾きつつある。
「たかが五百年前後、魔力を溜めた程度でいい気になるな」
キャスターの全身から、その魔力があふれ出ていく。
アウラのものとは真逆の黒い魔力。夜をより深い闇へと落としていくような魔力が、アウラの魔力を飲み込んでいく。
やがて天秤は、結論を下した。
明らかな、一方的な勝利を。
黒い魂が、白い魂に揺らぐことのない勝利を。
「こ、これは……!?」
「私は……悠久の時、魔術師の欲望と絶望を吸い続けてきた、呪いの魔術書だ……!」
「嘘よ……! ありえない……!」
だが、現実は変わらない。天秤は無情にもキャスターの勝利を宣言し、何度アウラが振ろうとも再審を行うことはない。
アウラはそれを受け入れることができないまま、何度も魔法を重ねがけされていく。
だが、それはキャスターに命中はするものの、最強の参加者には全く変化はない。
「こんなの……なんで……魔力を隠しておくことに、何の意味が……!? こんなの、何かの間違いよ!」
叫んだアウラは、キャスターに背を向け走り去ろうとする。
もはや彼女にプライドもなにもない。ネクロマンサーやキャスターというクラス名を、たとえどのような侮蔑的なものに格下げされたとしても、この場から逃げられる一点さえ保証されれば、彼女は甘んじて受け入れるだろう。
だが。
「止まれ」
服従させる魔法。
それは、リンクした場合、魔力が多い方が命令権を得る。
ウィザード、響、フロストノヴァ、パピヨン。
これまでアウラが対峙してきた者全てが、アウラよりも魔力量が少なかったからこそ、これはアウラの武器になり得た。
だが今回その命令は、逆にアウラを捕縛してしまった。
「あ……ッ! が……」
「こちらを向け」
逃走の足が固定されたアウラは、体を震わしながら体をキャスターに向き直らせていく。明らかに彼女自身の意思とは相反する動きながら、アウラは目を大きく見開いていた。
「嘘よ……嘘よ嘘よ!」
発狂したように叫ぶアウラ。
だがキャスターは、平然とした歩調で少しずつアウラへ近づいていく。
やがて、キャスターが伸ばした手がアウラに触れられる。その首筋に触れられた途端、アウラは体を大きく震わせた。
「あっ……がッ……!?」
アウラの
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