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英雄伝説〜西風の絶剣〜
第95話 幸せな夢の中で
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「いらっしゃい、私の可愛いラウラ。お母さんが生きているかどうかはハグをすれば分かるでしょ?」


 私はそれを見て直に駆け出して母上の胸の中に飛び込んだ。いつの間にか自分の体格が幼いころのものに変化していたが気にも留めず母上を抱きしめる。


「母上……この暖かさは間違いなく母上だ!会いたかった、母上……」
「きっと怖い夢を見てしまったのね。大丈夫よ、ラウラ。私はここにいるわ」
「母上ぇ……」


 そうだ、夢だったんだ。母上は生きている、今までずっと長い夢を見ていたんだ。


 私は母上にしがみつきながら悪夢が終わったことを安堵した。


「二人とも、ここにいたのか」
「父上!」
「あなた」


 するとそこに父上も姿を現した。母上は私を抱っこしたまま立ち上がり父上に声をかける。


「門下生たちの訓練は終わったのですか?」
「ああ、もう少し続けようと思ったのだが久しぶりに戻れたのでアリーシャ達と過ごした方が良いと言われてな。予定を早めて終わらせたんだ」
「まあ、あの子達は思いやりのある良い子達ね。ラウラ、久しぶりにお父様と遊べそうよ」
「本当ですか!父上、私は父上に剣を習いたいです!」
「はははっ、ラウラは根っからの剣士だな」
「ふふっ、ラウラらしいわね」


 私の言葉に父上も母上も楽しそうに笑っていた。私はそれを見て凄く幸せな気持ちになった。


 それから私はとても充実した日々を送っていた。鍛錬に勤しんで母上の手作りお菓子を食べたり、一緒にお風呂に入ったり、夜眠るときは子守唄を歌ってくれた。


 レグラムの皆に親しまれている母上はいつも人が集まっている、そんな母上を見ているだけで誇らしい気持ちになれた。


 父上と母上と一緒に湖畔でお弁当を食べたりもした。家族一緒に楽しいことが出来て私は心の底から幸せだった。


 でも何故かほんの少しだけ物足りなさを感じていた。なにか大切な人達の事を忘れているような……でもそれがなんなのか分からなかった。


 ある日私達の屋敷に老人が訪ねてきた、その人はユン・カーファイという八葉一刀流というゼムリア大陸で武術や剣術を志す者達がその名を知らないほどに有名な剣術の創設者だったんだ。


 ユン殿と父上は友人であるらしく時々尋ねに来る間柄らしい。


 私はユン殿からいろんな話を聞いて目を輝かせた、そして太刀という剣を見せてもらったが凄く綺麗な刃物だった。


 でも太刀を見た瞬間、私の頭に誰かの頭が過ったんだ。


『ラウラ、凄いじゃないか。でも俺も負けていられないな』
『ラウラは本当に頼りになるな、背中を任せられる数少ない相棒だよ』
『愛してるよ、ラウラ……』


 誰なんだ?
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