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英雄伝説〜西風の絶剣〜
第95話 幸せな夢の中で
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すると慰霊碑から真っ黒い人間が大量に表れて俺達に襲い掛かってきた。


「きゃあああっ!?」
「ぐうっ!なんて数だ!飲み込まれる……!」


 それは最早黒い波のようになってエステルやジンさんを飲み込んでしまった。


「リィン!」
「ラウラ!」


 俺は同じように黒い波に飲まれかけているラウラに手を伸ばした。だが俺達の手が繋がる瞬間に俺もラウラは?み込まれてしまった。


―――――――――

――――――

―――


side:ラウラ


「うっ……なにが起こったんだ?」


 気を失っていた私は意識を取り戻して頭を抑え辺りを見渡した。そこは霧に包まれた森の中だった。


「ミストヴァルトの森か、どうやらリィン達と引き離されてしまったようだな」


 私はリィン達の姿を探したが側にはいなかった、恐らく敵の策略で引き離されてしまったのだろう。


「ともかく直に合流しないと……」


 私は立ち上がり武器などを確認する、どうやら装備を奪われてはいないようだな。


 大剣を構えながら辺りを警戒しつつ森を進む、だが暫く歩いていると何か違和感を感じ始めた。


(……妙だ、この森は本当にミストヴァルトなのか?なんだかすごく見覚えのある場所だ)


 霧で視界が悪いはずなのだが何故かすいすいと先に進めている気がする、そして街道に出たがそこも凄く見覚えがある道だったんだ。


「まさかこの道は……」


 街道を歩き先を進む、ミストヴァルトの森なら近くにある街はロレントのはずだが……


「……これはどういうことだ?」


 私は人がいそうな町を発見した。だがそれはロレントではなく……


「どうして私の故郷であるレグラムがリベールにあるんだ!?」


 そう、その町は私の故郷であるレグラムそのものだった。これは幻なのか?


「あら、ラウラ。こんなところにいたのね」
「えっ……」


 背後から声をかけられた、だがその声が今は決して聞くことが出来ない懐かしいモノだったのでまさかと思いつつ振り返る。


「は、母上……?」


 そう、それは幼いころに猟兵に殺された母上……アリーシャ・S・アルゼイドだった。


「今日も走り込みをしてきたの?貴方は本当に向上心があって素晴らしい子ね、間違いなくあの人のような剣士になれるわ」
「母上…どうして……貴方がここに?貴方は死んだはずじゃ……」
「私が死んだ?そんなことはないわ。だってここにいるでしょ?」


 私は信じられなかった、どうして死んだ母上がいるんだと混乱していた。だが母上はクスッと笑みを浮かべると腕を広げてしゃがみこんだ。


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