第95話 幸せな夢の中で
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らしいぞ」
「ええ、さっきも言ったけど森に村があるなんて話は無かったわ」
「じゃあこの慰霊碑も雰囲気作りの偽物か……いや待て、ハーメル?」
俺は慰霊碑が立てられていたから百日戦役の犠牲者の石碑かと思った。だがラウラはエステルは森に村があったなど知らなかったと言い彼女も同意した。
もしこれが結社が生み出したまやかしの村なら慰霊碑も偽物なのかも知れない。そう思ったのだが急にジンさんが何かを見つけたのかハーメルと呟いた。
「ここを見てみろ、犠牲になった人たちが住んでいたであろう村の名前が刻まれている」
「えっと『ハーメルの住民、ここに眠る』……この村はハーメルっていうのね。ジンさん心当たりがあるの?」
「ああ、確かリベール王国とエレボニア帝国の国境付近に存在したエレボニア側の領地に在った村だったはずだ。大規模な土砂崩れによって村が壊滅して現在は地盤が安定していないという理由で立ち入り禁止区域に指定されている」
ジンさんが指を刺した場所に犠牲になった人たちと村の名前が刻まれていた。エステルはハーメルという村の事をジンさんに尋ねると彼は説明してくれた。
「じゃあこの村はそのハーメルっていう村なの?」
「直接行ったことがあるわけではないから断定はできんが……恐らくそうだろう」
「滅んだ村……ハーメル……」
俺は何故かハーメルという言葉が頭から離れなかった。
「……い」
「えっ、リィン君なにか言った?」
「いや今は喋ってないけど……」
「おっかしいわね、何か聞こえたような気がしたんだけど……気のせいかしら?」
エステルが何かを聴覚に捕らえたのかそう質問してきたが俺は覚えがないので違うと返す。
「……くい」
「ほ、ほら!やっぱり何か聞こえるわ!」
「向こうから聞こえたような気がするが……慰霊碑か?」
俺達も耳を澄ませてみると確かに何かつぶやいた声みたいなものが聞こえた。
エステルは辺りをキョロキョロして声の出所を探すがラウラは慰霊碑から聞こえたと話す。
「慰霊碑って……ヒッ!まさか幽霊!?」
「落ち着けエステル!これは結社の人間が生み出した幻のはずだ!」
「そ、そうはいっても……!」
幽霊などにめっぽう弱いエステルは涙目で縮こまってしまった。ラウラの言う通り敵の幻術の可能性が高いがそれでも怖い物は怖いのだろう。
「憎い……憎い……!」
「慰霊碑に黒い靄が……何か来るぞ!」
慰霊碑から聞こえる声がハッキリとしてきた、確かに憎いという言葉が聞こえたぞ。
そしてジンさんは慰霊碑に黒い靄が集まっているのを見て戦闘態勢に入った。
「憎いィィィィィィッ!!」
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