第95話 幸せな夢の中で
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を退けながら森の奥を進むと更に深い霧が発生してきたんだ。
「凄い霧だな……前が見えない」
「リィン、はぐれないように気を付けるぞ」
「ああ、そうだな」
俺達ははぐれないように手を繋いで進んでいく、そして霧を抜けると……
「……えっ?ここはどこなの?」
霧を抜けた先にはなんと村があったんだ。人の気配は一切しないが確かに村が森の中に存在していた。
「どうなっているんだ?ロレントの近くに村があるなんて話は聞いていないが……エステルは知ってるか?」
「ううん、あたしも知らないわ。少なくともミストヴァルトの森に村があるなんて話は一度も聞いたことない」
ジンさんがこの辺りで長年暮らしてきたエステルに村の事を確認するが、彼女も知らないと答えた。
「……」
「うん?どうかしたのか、リィン?」
「いや……なんだかこの景色が懐かしいような気がして」
俺はいきなり現れた村に何故かデジャヴを感じていた。こんな村に来た覚えは無いんだけど何故かなつかしさを感じるんだ。
「リィンはこの村を知ってるのか?」
「いや覚えがない。でもなぜか懐かしいって思ってしまうんだ」
「ふむ……そなたは幼いころの記憶が無いのだったな。だが人は時に記憶を失ったとしても体が覚えている場合があると父上から聞いたことがある」
「俺の体が覚えているって事か?この村は俺の故郷なのか……?」
ラウラは頭の中には無くても体が記憶しているんじゃないかと話し俺はそうなのかと困惑していた。
「リィンの故郷なのかどうかは分からないがお前さんの記憶から似たような景色を作った可能性もあるぞ。敵は記憶を操る術を持った奴もいるみたいだからな」
「じゃあ今回もリィン君に対する嫌がらせでこんなことしたのかしら?」
「それは分からんが結社に関係はあるはずだ。アガット達を探しつつ村を捜索するぞ」
「そうね」
結社の罠の可能性も考慮しつつアガットさん達を探すというジンさんにエステルも同意する。確かにこの村は気にはなるが今はそっちが大事だ。
俺達は警戒しながら村を回った。人は一人もいないのに料理の準備がされていたり洗濯物が干されていたりと何故か生活感のある村だった。
まるで急に人間だけがいなくなってしまったかのような不気味さが感じられる。
「ねえ、こっちに何かあるわよ」
「これは慰霊碑か?」
エステルが村の奥で何かを発見した。それは大きな石碑でジンさんは慰霊碑だと話す。
「慰霊碑って事はここで大きな災害や戦争が起こって大勢の人が無くなったって事だよな。百日戦役の事か?」
「だがエステルの話ではこの森に村があったという話は聞いていないとのこと
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